オムロン ヘルスケアは、同社の健康管理アプリ「OMRON connect(オムロン コネクト)」を利用するユーザ約3万人を対象に、「新型コロナウイルス感染症の流行下における意識や生活の変化に関するアンケート」を実施した。
同調査は、5月17日の世界高血圧デー、5月25~31日の脳卒中週間に先立ち、新型コロナウイルス感染症拡大防止策による外出自粛や生活様式の変化によって人々の意識や生活行動、血圧値などのバイタルデータがどのように影響を受けたかを明らかにすることを目的としたもの。
オムロン コネクトは、スマートフォンに最新の健康データを簡単に転送する無料のアプリケーション。オムロンの健康機器で測定した血圧や体重、歩数のデータを手持ちのスマートフォンで簡単に管理することができる。データはBluetooth通信でスマートフォンに転送され、グラフで確認できるので身体や歩数の変化傾向がわかる。
調査の結果、「運動する機会や運動量が減った」(46.4%)、「テレワークが増えた」(37.6%)、「体温を測る習慣がついた」(28.7%)など、日常の生活行動に変化がみられた。
血圧・体重を測定する習慣も上昇し、健康状態の測定に対する意識の高まりが顕在化した。仕事上と家庭においてストレスが増加したと回答した人はそれぞれ2割存在した。
調査概要およびアンケート調査結果の詳細は、次の通り。
■調査概要
◆調査対象:オムロン コネクトを利用するユーザ 3万0030人(有効回答数2万6724人)
◆年代:20代以下4.4%、30代9.8%、40代26.8%、50代36.8%、60代17.4%、70代4.4%、80代以上 0.5%
◆男女比:男性68.9%、女性31.0%
◆所有機器:血圧計(62.5%)、体重体組成計(56.4%)、活動量計(10.0%)
※複数機器の所有あり
◆調査エリア:全国
◆調査方法:インターネット調査
◆調査期間:5月8日~13日
■アンケート調査結果まとめ
1.感染症の流行で「健康に関する意識が変化した」と、8割以上が回答。
1位「運動することを心がけるようになった」(35.2%)、2位「疾患のリスクに関して情報を集めるようになった」(31.6%)と健康維持に対する意識の高まりと疾患のリスクへの不安を確認。
2.生活様式に変化があったと回答したのは約9割。
3.血圧値に変化があったのは、約17%。
およそ10人に1人が「血圧が上がった」(7.6%)または、「血圧が下がった」(9.7%)と回答。
4.「歩数、活動量が減った」と回答した人の、2人に1人が「体重が増加した」と回答。
5.血圧の降圧治療中の7割以上が新型コロナウイルス感染症流行後の、通院の意識に変化。
病院へ行くことへの抵抗や、長時間滞在することへの不安が明らかに。
1.「健康に関する意識が変化した」と、8割以上が回答。
全体の81.1%が、健康に関する意識が変化したと回答した。
1位「運動することを心がけるようになった」(35.2%)、2位「疾患のリスクに関して情報を集めるようになった」(31.6%)、3位「ストレスを溜めないように心がけるようになった」(29.7%)と健康維持に対する意識の高まりと疾患のリスクへの不安が確認できた。
2.「生活様式に変化があった」と回答したのは約9割。
1位「運動する機会や運動量が減った」(46.4%)、2位「テレワークが増えた」(37.6%)3位「体温を測る習慣がついた」(28.7%)と日常の行動に変化が見られた。
「血圧を測る習慣がついた・頻度が増した」(14.4%)、「体重を測る習慣がついた・頻度が増した」(10.9%)と血圧・体重を測定する習慣もそれぞれ上昇し、健康状態を測ることへの意識の高まりが確認された。
ストレスについて
仕事上と家庭においてストレスが増加したと回答した人はそれぞれ約20%いた。一方で、仕事上のストレスが減ったと回答した人も約10%。
3.血圧計ユーザのうち、血圧値に変化があったのは17%。
およそ10人に1人が「血圧が上がった」(7.6%)、または「血圧が下がった」(9.6%)と回答。普段よりも時間に余裕のある生活や通勤・職場でのストレスなどから解放される反面、在宅勤務や外出自粛などでかえってストレスを受けているなど、生活様式の変化が血圧に影響を及ぼしていることが確認できた。
4.「歩数、活動量が減った」と回答した人の、2人に1人が「体重が増加した」と回答。
「歩数、活動量が減った」(55.5%)と回答した人のうち、2人に1人体重が増加したと回答。在宅勤務や外出自粛などによる、活動量の減少が体重増に結び付いていることが明らかになった。
5.血圧の降圧治療中の7割以上が通院の意識に変化。
感染症が流行してから、日常の病気や症状での通院に対する意識に変化があると回答した人は7割以上いた。「症状が安定しているので薬だけ欲しい」(36.9%)、「通院頻度は変えたくないが待合時間を減らしたい」(27.3%)など、病院へ行くことへの抵抗や、長時間滞在することへの不安が明らかになった。
島本和明日本高血圧協会理事長(日本医療大学 総長)は、これらアンケート調査結果を次のように考察している。
新型コロナウイルス感染症の影響下でも、高血圧の方はお薬を飲み続ける、家庭血圧を測り続けることが大事である。家庭血圧の測定により、血圧の安定、つまり治療経過の良好さを確認できる。
今回のような状況の中では、行動が制限され家庭内で過ごす時間も増加し、習慣的に血圧を測定する人も増えた。これを機に、家庭血圧をきちんと測って記録することを習慣化してみてはどうか。
今回、血圧変動があった人は、生活が戻ったときにどう変化するのかに注意が必要である。今回、血圧が上がった人は今の環境にストレスを感じ、血圧が下がった人は元々の環境にストレスを感じていた可能性もある。ストレスの原因はどこにでも存在するので、ストレスの感じ方が変化することは仕方ない。
だが、今回の行動制限で血圧が下がった人は、通勤や職場でもストレスを感じる「職場高血圧」の可能性もある。流行前の血圧値と現在の血圧値を比較するだけでなく、元の生活に戻った時、つまりアフターコロナの血圧値も非常に重要となる。元の生活に戻ると、職場高血圧の人は血圧が上がる可能性もあるので、血圧を測り続けてほしいと思う。
新型コロナウイルス感染症が流行する今だからこそ、家庭で血圧をしっかり測定し、血圧変化を確認してほしい。
一方、オムロンでは、「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」を事業ビジョンに掲げ、高血圧の予防改善による脳・心血管疾患の発症抑制を目指している。家庭での血圧測定および血圧コントロールの大切さを啓発し、脳・心血管疾患の原因となる高血圧の予防改善に貢献していく。