オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修会に参加しました。
講演1は、オンライン診療ガイドラインと緊急避妊薬処方についてでした。
緊急避妊薬を取り巻くこれまでの課題として、緊急避妊薬は処方薬ですが、スイッチOTC化が日本の性教育の浸透等を理由に見送られた事情があり、SNS等で海外からの輸入転売が散見されていることが挙げられます。そこで今回、オンライン診療が可能となりました。
緊急避妊薬は性交後72時間以内に内服する必要性があり、迅速な対応を求められます。ところが、容易に緊急避妊薬が入手可能となり、適切な避妊方法が行われなくなるのではないか、あるいは、緊急避妊薬を用いても避妊を防げないことがあるなど、使用者が十分な知識を持ち得ていないのではないか等、問題点は多くあります。それらの対応案として、十分な知識を持った医師が説明を行い、3週間後の受診の約束を取り付けることとなっています。また、緊急避妊薬が必要以上に流通すると転売等により組織的な犯罪に適用されるのではないかという懸念点には、医師は1回分のみの処方を徹底し、薬局での薬剤師の前で内服する等の対応案がでています。しかしまだ、調整中の対応も多くあり、暫定的といえます。
講演2では、婦人科医会の産婦人科部長から月経、月経異常、ホルモン調節機序、低容量ピル全般、避妊、緊急避妊全般について詳しくわかりやすく説明していただきました。海外に比べ日本の避妊は女性が主体ではないことなどがよくわかりました。
ポイントは、「UPSI(unprotected sexual intercourse)避妊せずに行われた性交または避妊手段が適切かつ十分でなかった性交の72時間以内に、ECビル(レボノルゲストレル1.5mg含有)を1錠服用する。この研修を受けた薬剤師の目の前で必ず服用してもらう。UPSI後72時間以上経過していた時は速やかに産婦人科への受診を勧める。妊娠の可能性について説明し、3週間後の産婦人科受診を勧める。性暴力被害者が隠れている可能性に留意して、ワンストップ支援センター等の情報提供する。今後の避妊のために経口避妊薬(OC)などについて勧められるようにする」ことです。
社会の変化に伴い、性のとらえ方も大きく変わっています。研修終了薬剤師として、適切な患者対応と医療連携の重要性や、オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤等における社会的役割を改めて感じました。
薬剤師 宮奥善恵