大阪府薬藤垣会長 本年6月の任期満了で退任

 大阪府薬剤師会の藤垣哲彦会長は10日の定例記者会見で、「本年6月の任期満了を以て退任する」意向を明らかにした。藤垣氏は、2年前のこの時期にも「会長退任」の意思表示をしたが、その後、周囲を取り巻く状況が変わって余儀なく続投した経緯がある。
 大阪府薬では、3月28日開催の総会で任期満了に伴う会長選出が実施される。藤垣氏は、「2年前、その時がグッドタイミングと思って会長を引くと宣言した。今回は、絶対に立候補することはない」と改めて断言。退任後は、「一薬剤師として、自らの薬局で地域医療に専任したい」と抱負を述べた。6月に任期が完了すれば、藤垣氏は、5期10年、大阪府薬の会長を務めたことになる。
 大阪府薬では、3月1~23日まで、会長立候補者の受付を行う。次期会長の有力候補とみられる乾英夫大阪府薬副会長(日薬副会長)は、「1月23日の大阪府薬の理事会で、日薬副会長には出馬しないと宣言した。日薬副会長には、大阪・近畿から新しい候補者に出てもらいたい」と話すに留めた。
 一方、尾島博司大阪府薬副会長は、「(大阪府薬会長の)候補者が居れば、立候補する意思はない」との考えを表明した。
 会見では、「入退院時の情報共有を軸とした各種薬学的管理の提案検討事業」の中間報告にも言及。堺市での取り組みについて尾島氏は、「前年度の1病院から今年度は5病院に拡大して実施したが大変良かった。退院時には、病院側からの薬剤の情報をスムーズに引き継げた」と現況を説明。その一方で、「これから入院する患者さんを街の薬局は見つけにくいので、病院への情報提供が難しくなるケースがあった」と今後の課題も指摘した。
 住吉区の現況については乾氏が、「地域内には急性期総合医療センターが基幹病院として存在するので、もともとネットワークが構築されていたもののうまく活用されていなかった」とこれまでの経緯を説明。
 その上で、「今年度から開始した同事業により、持参薬も含めた入退院時の薬剤服用歴の情報交換がスムーズになった。病院から患者さんが入院されるという情報も来るので、薬局薬剤師もやり易かった」と報告し、「このように、病院の患者情報を入院前に薬局に貰えるようにすればうまくいくのではないか」との見通しを示した。
 藤垣会長は、「OTCや漢方薬も含めた入退院時の薬剤服用歴の情報交換をどのような手段で、医療機関同士が行うかを考える必要がある」と指摘。「昔は、手紙で渡していたが、患者さんが相手の医療機関に持参しないために伝わらないケースが多かった。WEBでやれば良いとの意見もあるが、患者個々に適した伝達方法を検証していく必要がある」と訴求した。

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