スミトバント社品等の新製品寄与で持続的に企業成長  大日本住友製薬野村社長

野村氏

 大日本住友製薬の野村博社長は7日、大阪市内で会見し、「ラツーダが特許切れする2023年をボトムに、スミトバント社のレルゴリクス(子宮筋腫・前立腺がん等)及びビベグロン(過活動膀胱)や、ナパブカシンなどの伸長による持続的な企業成長構想」を示した。また、2022年度の中期経営計画目標値を「本年10月の中間決算前に公表する予定」も明らかにした。
 野村社長は、2020年度以降の業績イメージとして、「売上収益は2019年度の4750億円から2022年度までゆるやかな右肩上がりで推移した後、2023年のラツーダの特許切れで一旦下がり、それをボトムに、成長ドライバーによる確かな増収基調」の見通しを示した。

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 一方、コア営業利益は、「2019年度の640億円から2021年までスミトバント社の先行投資の影響により損益低下し、2022年度は一旦増益となる」ものの「2023年はラツーダ減収で減益となり、それをボトムに持続的な増益基調となる」と公表した。
 成長ドライバーとしては、米国ではロイバント社との戦略的提携で誕生した新会社のスミバント社品のレルゴリクス、ビベグロンや、ナパブカシン(結腸直腸がん)、SEP-363856(統合失調症RVT-802(小児先天性脳無胸腺症)、国内ではイメグリン(2型糖尿病)、ルラシドン(統合失調症)などを挙げた。
 その中で、レルゴリクスは、米国で子宮筋腫について本年4月に申請予定。前立腺がんも米国で2020年度1Qに申請する。発売後は、「現地で200人程度の婦人科領域専門のセールスレップを雇用し、サノビオンのコマーシャルのインフラを使ってマーケット価値を支援する」
 ビベグロンは2019年12月に申請済み。同剤も、「泌尿器科領域専門のセールスレップを雇用して、サノビオンが支援する」RVT-802は、米国で申請中だが、昨年12月に審査結果通知を受領。製造面での課題を指摘されたが、「再生細胞チームで解決するためのグループを立ち上げた」
 国内では、ルラシドンが2020年度に発売予定。野村氏は、「ロナセンとルラシドンは同じ統合失調症を適応症としているが、それぞれ投与経路が異なる」と明言。その上で、「ロナセンはテープ製剤、ルラシドンは錠剤なので、処方オプションを増やすことができる」とそのメリットを訴求した。イメグラミンは2020年度申請、2021年度発売予定。
 進行中の中期経営計画の最終年度となる2022年度の業績予想について野村氏は、「現在、データ収集中であるが、例え下方修正になっても何ら問題はない」と断言。その理由を、「将来の成長の加速を期待するコストが反映される数字になるため」と説明した。

木村氏


 また、木村徹取締役常務執行役員は、AI創薬を含むインシリコ創薬の取り組みについて言及し、「AI技術・神経回路技術を用いて創製した化合物(DSP-1181、CNS分野)により、短期間で効率的に創薬が進む例を示すことができた」と強調。さらに「現在、AIを使って様々な化合物を創製している。中には、ある疾患に対してどのようなスクリーニングをしてどのような化合物を創れば良いかという世界的データを駆使して、計算機の中で生み出された化合物もある」と明かした。
      

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