塩野義製薬は12日、Mulpleo(国内製品名:ムルプレタ)について、英国およびスコットランドにおける医療技術評価機関が推奨勧告したと発表した。
適応症は、待機的な観血的手技を予定している成人慢性肝疾患患者における重度の血小板減少症の治療。
推奨勧告は、英国国立医療技術評価機構(NICE)およびスコットランド医薬品コンソーシアム(SMC)が、イングランド、ウェールズ、およびスコットランドの国民保険サービス(NHS)の下に行われたもの。
欧州で承認を取得した医薬品のうち、同適応についてNICEおよびSMCから推奨を勧告された医薬品は同剤が初めて。両勧告は、主に、Mulpleoの2つのP3試験、L-PLUS1試験およびL-PLUS 2試験で得られた良好な結果に基づき判断されたもの。
血小板減少症は、慢性肝疾患の一般的な合併症である。英国では、60万人以上が重度の肝疾患を、うち6万人が肝硬変を有している。
また、英国の肝硬変を有する患者のうち、年間約3300名が観血的手技の施術前に血小板輸血を受けていると推計されているが、血小板輸血時には非溶血性副作用や細菌感染、ウイルス感染などのリスクを伴う。一方、経口で服薬可能なMulpleoは、成人慢性肝疾患患者さまの血小板減少症の治療における新たな選択肢となる。
同剤は、塩野義製薬で創成された、経口で服用可能な低分子トロンボポエチン受容体作動薬。同受容体に作用して、ヒト骨髄造血前駆細胞から巨核球系への細胞の増殖や分化誘導を促進し、血小板数を増加させる。
待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者の、施術などの際の血小板輸血時に見られる非溶血性副作用や細菌感染、ウイルス感染などを回避できる代替療法として、国内では2015年12月に製品名「ムルプレタ」として世界に先駆けて発売。米国では2018年8月に製品名「Mulpleta」として発売している。
欧州では、2019年2月に欧州委員会(EC)より「待機的な観血的手技を予定している成人慢性肝疾患患者における重度の血小板減少症の治療」を適応症として、承認を取得している。