ケー・エー・シーは、バイオサイエンス事業部の拠点である生物科学センター(滋賀県)動物実験施設に新たに生物科学センターA棟を開設し、5月より本格稼働している。
同センターA棟の新設は、バイオサイエンス事業部が担当する非臨床受託試験事業の拡充を目的としたもの。
A棟は、小動物(ラット、マウス)を用いた薬理・安全性試験を信頼性基準に基づいて行われる施設で、バリアシステムで運用されている。1階建床面積は704.58㎡。
新施設の特長は、①大・小の飼育室2室と実験室1室を1セットとする区画を4区画備えて、試験と動物飼育が効率的に行える構造を採用、②行動薬理試験など照度が影響する試験等を想定した調光設備を全飼育実験室に設置、③試験終了後に、動物の解剖や臓器採取、採血など様々な試験ができる処置室も飼育実験室から独立させて設置、④棟内の温度・湿度など空調の制御は設備業者によりインターネットを介した外部遠隔監視で行っており、空調設備に異常が発生した場合には業者や担当者が現場に出向くことなくピンポイントに迅速な対応処理が可能⑤試験従事者の入退館は電気錠システムで記録管理しており、棟内ではいくつかの重要な箇所にインターロックシステムを導入し、誤操作により清浄度が破壊されない設備対策を実施ーなど。
第一動物棟ではX線撮影設備を設置
また、別施設の第一動物棟では、生理学的、解剖学的にヒトに近く、新たな医療用モデル動物として近年注目されている家畜ブタを用いた医療機器や再生医療製品の薬理・安全性評価を行っている。
一般的な機能評価に加え、「病理組織学的評価や画像解析・診断を評価指標に取り入れたい」という顧客ニーズが増加しており、新たにX線撮影設備を設置した。
新設備では、心・血管系機能や膝関節障害の機能評価を進めているが、さらに器質的な変化への影響評価が客観的に捉えられるものと期待される。
三浦義記執行役員生物科学センター長 バイオサイエンス事業部長兼営業部長は、「今後も新しい疾患領域のモデル動物としてブタを用いた評価試験を充実させていきたい」と強調する。
さらに、バイオサイエンス事業部では、「こうした科学技術の進歩を敏感に捉えた新たな動物実験環境の整備に努めると共に、新規試験施設・設備を最大限活用し、付加価値のある非臨床受託試験事業を積極的に展開したい」と明言。
その上で、「今後も、さらなる動物実験の専門性・品質の向上を目指して、顧客要望に応えていきたい」と抱負を述べる。