ワクチン充填や陽性者と対面業務のための独自マニュアル作成し新型コロナに対応  京都府薬

左から砂川氏、河上氏、渡邊氏

 京都府薬剤師会では、京都府、京都市および京都府医師会からの新型コロナ対策事業への協力依頼を受けて、集団接種会場のワクチン充填業務や在宅療養患者への訪問による医薬品供給・服薬指導、ホテル療養者および京都市電話診療所への医薬品供給対応などの業務を展開。薬局薬剤師と病院薬剤師が協力して同業務に尽力している。
 京都府薬剤師会は、2021年度の事業計画で、「総合戦略会議」の中に新たに「コロナ対応PT(プロジェクトチーム)」と「見える化PT」を設置した。今回の新型コロナへの様々な対応は、「コロナ対応PT」の一環として展開しているもの。「見える化PT」により、その業務内容や対応方法を様々なメディアに紹介している。
 その中で、まず、ワクチン接種会場への支援では、京都府の大規模接種会場(3か所)および市町村の集団接種会場におけるワクチン充填業務に対応している。充填業務の支援に当たっては、独自の充填マニュアルを作成して研修会を開催した。
 また、大規模接種会場では、機関病院の病院薬剤師が必ず参加し、経験の少ない薬局薬剤師の現地指導を行う体制を構築。事故防止に努め業務のスムーズな運営に寄与している。
 砂川雅之専務理事は、「ワクチン充填業務は、病院薬剤師と薬局薬剤師が一体となってシフトを組んでおり、日頃注射剤に慣れない薬局薬剤師は随分助けられた。こうした場面にも、開局薬剤師と病院薬剤師を統合した京都府薬のメリットが発揮されている」と話す。
 新型コロナワクチン調整に関する集合研修会は、1日2回、合計4回開催された。京都府薬独自の充填マニュアル(ファイザー製・モデルナ製についても解説)は、同会公式サイトに掲載して会員への周知徹底を呼び掛けている。
 薬剤師のワクチン接種会場への述べ動員数は、6月644人、7月722人、8月257人に上る。
 在宅療養患者への訪問による医薬品供給・服薬指導は、新型コロナ患者が拡大する「第5波」を受け、在宅療養者への往診体制の整備に協力するもの。
 京都市内を中心とした在宅医療の陽性者訪問医療チームと協力し、療養者宅へ在宅訪問を行い、医薬品の供給、服薬指導および薬剤師の視点から療養者の状態把握を行い医療チームにフィードバックするのが薬剤師の業務内容だ。
 これまでの京都市内での自宅療養者往診事例に、「よしき往診クリニック」(西京区)がある。「ゆう薬局在宅支援センター」の薬剤師が往診に同行し、患者宅では、医療スタッフが防護服に着替えてそれぞれの業務を行っている。
 9月1日からは、京都府下においても地域医師会を中心に新型コロナ在宅療養者の訪問実施を計画しており、その場合も「にしき往診クリニック」同様に医薬品の供給や服薬指導などの業務が京都府薬に依頼されている。
 河上英治京都府薬会長は、「京都市内や乙訓など京都府下での在宅訪問拡大に備えて、京都府薬では、陽性者と対面で業務を行う場合の感染防止対策マニュアル作成や研修会を準備している」と明かす。渡邊大記副会長も、「現在、在宅訪問対応マニュアルの動画とパワーポイントを作成しており、ホームページにアップする」考えだ。
 一方、ホテル療養者への医薬品供給では、京都府の指定した2ホテルの療養者に対して、下京南薬剤師会の12薬局が業務を担当。偶数月3薬局、奇数月3薬局に分けたローテーションを組んで、土日を含む毎日に対応している。9月1日からは1ホテル追加され、新たに東山薬剤師会および中京薬剤師会の6薬局で対応している。現在、京都府のホテル療養者施設は3ホテルとなっている。
 担当の薬局・薬剤師は、医師の診察で発行された処方箋に基づいて医薬品を調剤してホテルに持参し、タブレットを使用して服薬指導を行っている。
 加えて、京都府薬は、京都市が8月17日より京都府医師会館内に設置した京都市電話診療所の「京都市電話診療所処方箋発行における薬剤交付事業」にも参画。京都市電話診療所が、自宅療養者に発行した処方箋に基づいて療養者宅へ医薬品を届け、電話で服薬指導する業務を展開している。
 同業務は、本受付薬局8軒、バックアップ薬局9軒で対応しており、本受付薬局での処方箋応需枚数が多くなれば、バックアップ薬局に振り分ける仕組みになっている。

 京都府内の新型コロナ自宅療養(京都市電話診療所処方箋含む)および、宿泊療養の月別処方箋受付件数は次の通り。

自宅療養:4月80件、5月121件、6月38件、7月4件、8月484件 合計727件

宿泊療養:4月37件、5月397件、6月95件、7月211件、8月547件 合計1287件

ワクチン接種に関する店頭ポスター

 その他、京都府薬では、薬局でワクチン接種時の予診票の記入や、不安なことが相談できることを訴求する薬局店頭ポスターを作成し、同会ホームページからダウンロードできるようにしている。
 これらの新型コロナ対応について河上会長は、「2021年度の事業計画で、総合戦略会議の中に新たにコロナ対応PTを設置したことが、スムーズな対応に繋がっている。今後も、各方面からの協力依頼に対して、開局薬剤師・病院薬剤師が一体となって対応していきたい」と意気込む。
   

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