アストラゼネカは4日、間質性肺疾患(ILD)の発症を予測するモデル構築に向けた探索的試験(iDETECT study)を、6 月より開始すると発表した。同試験の対象は、化学放射線療法後にイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])による治療を受けたステージⅢの切除不能な非小細胞肺がん患者。
iDETECT studyでは、ウェアラブルデバイス等から得られたデータを臨床情報と組み合わせることによって、ILD 早期発見・発症予測ができるかを検討していく。
ILD が重症化すれば、患者は現行の治療の休止や中断を余儀なくされる場合があるため、早期の段階でILDを適切に検出もしくは発症を予測し、重症化を防ぐことが治療を継続する上で重要である。
iDETECT studyは、ウェアラブルデバイス等を用いて収集したデータを基に初期症状のILDの早期検出により、将来的にILDが重症化する前に適切な医療サービスを受けることができる環境の創出を目的としている。
iDETECT study 試験概要は、次の通り。
⚫試験目的:イミフィンジを投与している切除不能なステージⅢの非小細胞肺がん患者の、将来的なグレード 2 以上の ILD 発症や疾患の進行状態を、機械学習により予測することが可能であるかを検証する
⚫検証データ:患者の臨床データおよび患者がウエアラブル機器と携帯アプリから回収した血中酸素飽和度、呼吸、脈拍数、咳データ
⚫試験対象:日本でイミフィンジを投与している切除不能なステージⅢの非小細胞肺がん患者150 名
⚫試験期間:2021年6月~2022年12 月
⚫使用デジタル機器・技術:クォンタムオペレーションによるウェアラブルデバイス(血中酸素飽和度、呼吸、脈拍数を測定)および、ResApp Health 社による咳の回数を測定できる携帯アプリ
⚫AIモデル開発(ILD 発症予測モデル開発):エムスリー
⚫同臨床研究に関する詳細は、clinicaltrials.gov およびjRCTに掲載。
(登録番号:NCT04884269 および jRCT1051210033)
◆地主将久アストラゼネカメディカル本部オンコロジー部門長のコメント
治験において、化学放射線治療後にイミフィンジを投与した日本人患者さんの有害事象の中で、放射線性肺炎を含むILD発症は最多を占めている。
ステージⅢの非小細胞肺がんにおける治療は、治療の進歩により、根治を目指せる可能性が高くなってきており、患者さんの治療機会を最大限に維持することが非常に重要である。
今回の iDETECT studyでは、ウェアラブルデバイス等から得られたデータを臨床情報と組み合わせることによって、ILD 早期発見・発症予測ができるかを検討していく。