Poxel社(本社:フランス)は24日、 イメグリミンのP3相TIMES(Trials of IMeglimin for Efficacy and Safety)2試験およびTIMES3試験の結果と、PXL770の心腎疾患モデルに対する非臨床試験の結果をオンライン開催されている第56回欧州糖尿病学会(EASD)で発表した。イメグリミンの臨床試験はいずれも、同剤が複数の疾患ステージにおいて2型糖尿病治療に寄与する結果を示した。同ポスター発表は、Poxel社のウェブサイトで閲覧できる( https://www.poxelpharma.com/en_us/product-pipeline/posters )。
Poxel社は、2型糖尿病および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む代謝性疾患の革新的な治療薬研究開発に取り組むバイオ医薬品企業。日本で実施したTIMES試験は、Poxel社と大日本住友製薬の共同開発で、合計1100名の患者を対象とする三つのP3相試験で構成されている。
イメグリミンは、これら3つの試験で主要評価項目および目標値を達成し、良好な安全性と忍容性プロファイルが観察された。本年7月には、大日本住友製薬が、2型糖尿病を適応症とした同剤の製造販売承認申請を行い、現在、PMDAにより審査中である。
イメグリミンは、3つのTIMES試験において、単剤療法あるいはインスリンや他の既存薬との併用療法で、HbA1cの安全かつ有意な低下が観察された。
また、TIMES2試験においても、イメグリミンと他の経口薬による併用療法で、HbA1c値に臨床的に意味のある改善が示された。最も有効性を示したのは、HbA1cを0.92%低下させたイメグリミンとDPP4阻害薬による併用療法であり、この併用療法が特に有益な治療になる可能性を示唆している。
TIMES3試験では、血糖管理が不十分な患者に対し、イメグリミンとインスリンによる併用療法が有益であることが示された。また、いずれの試験でも、イメグリミンはプラセボと同程度の忍容性を示し、重度の低血糖の兆候は観察されなかった。
これらの試験結果により、イメグリミンが複数の疾患ステージで2型糖尿病の治療に寄与するものと考えらえれる。
一方、PXL770(直接的APMKアクチベーター)の動物モデルを使用した腎疾患及び心疾患に対する試験では、PXL770による糖尿病性腎臓病および拡張不全の改善が観察され、腎臓と心臓の両方で増悪を予防することが示された。これらの結果は、PXL770およびAMPKの直接的活性化が、代謝経路の障害に起因するさまざまな臓器疾患に対し有益となる可能性を示唆している。
TIMES2試験は、日本の2型糖尿病患者を対象とし、イメグリミンを単剤療法およびいくつかの既承認血糖降下薬との併用療法として評価したもの。同試験は、714名の日本人患者を対象に、イメグリミンの長期安全性および有効性を検証する52週間、非盲検、並行群間試験であった。既承認の経口薬または注射薬(安定用量)との併用療法として、イメグリミン1000mgが1日2回投与された。
経口薬との併用療法における平均HbA1c減少量は、DPP-4阻害薬(-0.92%)、チアゾリジン薬(-0.88%)、アルファグルコシダーゼ阻害薬(-0.85%)、グリニド薬(-0.70%)、メトホルミン薬(ビグアナイド系薬剤の一種、-0.67%)、SGLT-2阻害薬(-0.57%)、およびスルホニル尿素薬(-0.56%)となった。
DPP-4阻害薬との併用による高い有効性は、DPP-4阻害薬が日本で最も普及している薬剤であり、2型糖尿病患者の80%に処方されていることを踏まえれば、特に注目に値する結果である。
TIMES2試験の結果は、イメグリミンのグルコース依存的なインスリン分泌増加およびインスリン感受性の改善という独自の作用機序が、それを補完する作用機序を有する幅広い薬剤を併用することで、治療に新たなベネフィットをもたらすことをさらに裏付けるものとなった。
また、これまでの試験結果と同様に、今回もイメグリミンはすべての投与群で良好な安全性および忍容性プロファイルを示した。
TIMES試験は、Poxel社と大日本住友製薬が共同で進めてきた。両社は2017年10月に、日本、中国、韓国、台湾、その他東南アジア9カ国を対象に、イメグリミンの開発および製品化に関する提携契約を締結している。