ベネトクラクス併用療法のP3試験がNEJMに掲載  アッヴィ

 アッヴィは25日、AML患者を対象としたP3相VIALE-A試験結果が、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン( NEJM)に掲載されたと発表した。同試験は、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法について、強力な化学療法が適応とならない初発の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象としたもので、全生存期間(OS)がプラセボ/アザシチジン併用時と比較して延長され、死亡リスクが34%減少した。
 AMLは、世界で最も多い急性白血病で、標準治療である強力な化学療法に耐えられない患者もいるため、治療が最も困難な血液がんとなっている。治療法やケアの進歩にもかかわらず、AMLと診断された患者の5年生存率は約28%に留まっている。
 治験総括医師であるコートニー・D・ディナルド氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター がん治療部門白血病科)は、「ベネトクラクス/アザシチジン併用療法では、強力な化学療法に耐えられない初発のAML患者の転帰を改善することができる。これは、従来のAML治療を変える進歩となるだろう」とコメントしている。
 VIALE-A試験において、米国ではOSが唯一の主要評価項目であった。一方、中国、日本、欧州連合(EU)およびEU参照国では、OSと複合完全寛解(CR+CRi)率の2つが主要評価項目であた。CR+CRiは完全寛解(CR)と、不完全な血液学的回復を伴うCR(CRi)、すなわち、血球数が完全に回復していない不完全なCRを反映した複合スコアである。
 ベネトクラクス/アザシチジン併用療法により、死亡リスクがプラセボ/アザシチジン併用時と比較して34%減少した[ハザード比(HR)0.66(95%CI:0.52~0.85)、p<0.001]3。
 ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群では、OSの中央値が14.7カ月(95%CI:11.9~18.7)であったのに対し、プラセボ/アザシチジン群では9.6カ月(95%CI:7.4~12.7)であった。またCR+CRi達成率は、ベネトクラクス/アザシチジン群では66.4%(95%CI:60.6~71.9)であったのに対し、プラセボ/アザシチジン/群では28.3%(95%CI:21.1~36.3)であった(p<0.001)。
 NEJMで発表されたその他の副次評価項目は、CR+部分的な血液学的回復を伴うCR(CR+CRh)など。
 VIALE-A試験で確認された安全性プロファイルは、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法の既知の安全性プロファイルと概ね一致していた。ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群で最も頻繁にみられた有害事象(40%以上の患者で発現)は、大半が血液系または消化管系の事象で、その内訳は血小板減少症(46%)、悪心(44%)、便秘(43%)、好中球減少症(42%)、発熱性好中球減少症(42%)、および下痢(41%)であった。
 ベネトクラクス/アザシチジン群で頻繁にみられた重篤な有害事象(10%を超える患者で発現)は、発熱性好中球減少症(30%)および肺炎(17%)であった。増量期間中に、腫瘍崩壊症候群(TLS)がベネトクラクス/アザシチジン群の3例で報告されたが、プラセボ/アザシチジン群では報告されなかった。いずれの事象も一過性の生化学的な変化であり、尿酸排泄促進薬(尿酸の尿中排泄量を増やし、血漿中の尿酸濃度を低下させる薬剤)とカルシウム補給剤により回復し、治験薬の投与は中断されなかった。これらの試験結果は、本年6月、オンライン開催された第25回欧州血液学会(EHA)年次総会で、最新データとして発表されている。
 アッヴィはジェネンテック社と共同で、VIALE-A(M15-656)試験の結果を、VIALE-C(M16-043)試験のデータならびにP1/2相試験(M14-358およびM14-387)の最新データとともに米国FDAに提出した。これは、75歳以上または強力な導入化学療法を選択できない併存疾患を有する初発のAML成人患者に対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法を適応としたベネトクラクスの迅速承認を、完全承認に変更するためのもの。また、アッヴィは、その他の世界各国の保健当局にもこれらのデータを提出している。

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