新型コロナワクチンP2/3 相試験被験者全員強固な免疫反応    アストラゼネカ

 アストラゼネカ(AZ)は22日、現在進行中の英オックスフォード大学が主導する新型コロナウイルスワクチンAZD1222 のP2/3相試験(COV001)中間結果として、評価されたすべての被験者において忍容性が確認され、SARS-CoV-2 ウイルスに対する強力な免疫反応を生成したと発表した。
 COV001は、18 歳から55 歳の健康な成人1077人が参加する、多施設共同第 P2/3相単盲検無作為化比較試験である。同試験は、髄膜炎菌結合型ワクチン(MenACWY)に対してAZD1222の単回投与を評価したもの。
 参加者のうち10人は、1か月間隔でAZD1222を2回接種された。
 The Lancetに掲載された結果によると、AZD1222 の単回接種を受けた95%の被験者は、接種1か月後に SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体が4 倍に増加したことが確認された。全ての被験者において、T細胞反応が誘発され、14日目までにピークに達し、接種の2 か月後まで維持された。
 SARS-CoV-2に対する中和活性(MNA80 法で評価)は、ワクチンの単回接種から 1 か月後には 91%の被験者に、2 回目の接種を受けた被験者の100%に見られた。1 回または 2回の接種を受けた被験者に見られる中和抗体のレベルは、回復期のCOVID-19患者に見られるものと同様の範囲であった。中和抗体法全体で強い相関が観察された。
 初期の安全性に関する結果としては、AZD1222を接種されたグループで一時的な注射部位の痛みと圧痛、軽度から中程度の頭痛、疲労、悪寒、発熱、倦怠感、筋肉痛を含む、一時的な局所反応と全身性反応という一般的な反応で、以前の治験や他のアデノウイルスベクターワクチンと同様であることが確認された。
 AZD1222 で重篤な有害事象は報告されておらず、鎮痛剤であるパラセタモールの予防投与によりこれらの反応は軽減され、2 回目接種後に反応が起きる頻度は低くなった。
 オックスフォード大学のオックスフォードワクチン試験の主任研究者で同試験の共同執筆者のアンドリュー・ポラード教授は、「私たちのコロナウイルスワクチンのP2/3相中間データは、ワクチンが予期しない反応を引き起こさず、このタイプの以前のワクチンと同様の安全性プロファイルを有していたことを示した」と説明する。
 さらに、「ワクチン接種後に観察された免疫反応は、SARS-CoV-2ウイルスに対する防御に関連すると予想されるものと一致しているが、これを確認するには、厳密な臨床試験プログラムを継続する必要がある」と指摘。その上で、「2 回のワクチン接種を受けた被験者で最も強い免疫反応が見られたのは、このワクチンを接種するにあたり2回接種が優れた戦略である可能性があることを示している」とコメントしている。
 一方、アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalos氏は、「AZD1222がSARS-CoV-2に対する迅速な抗体およびT細胞応答を生成できたことを示すP2/3相中間データに勇気づけらる」と強調し、「今回のデータはワクチンが機能するという確信を高めてくれるものであり、世界中で広く公平にアクセスできるようにワクチンの大規模な製造計画の継続を可能にするものである」と話している。
 現在、後期のP2/3相試験は英国、ブラジル、南アフリカで進行中で、米国でも開始される予定。P2/3相試験では、ワクチンがCOVID-19からどの程度、防御してくれるかを判断し、様々な年齢範囲およびさまざまな用量における安全性と免疫応答を評価する。並行して、アストラゼネカは、後期臨床試験が成功した場合に備えて、ワクチンへの広く公正なアクセスというコミットメントに向けた取り組みを継続する。
 現在までに20億回以上のワクチンを供給するという約束を、英国、米国、欧州のInclusive Vaccines Alliance(包括的ワクチン同盟)、the Coalition for Epidemic Preparedness(CEPI:感染症流行対策イノベーション連合)、Gavi the Vaccine Alliance、Serum Institute of India と合意している。

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