スマホで手軽に脳の健康度を知る「ミルダケタッチ」、脳を育てる「ブレインアセット」を一元化した一般向けアプリ「ミルダケケア」販売開始 アイ・ブレインサイエンス

社会全体で認知症予防を推進する「ゼロ次予防」の拡大目指して

 大阪大学の研究を基に認知症の早期診断に向けた新技術の事業化のため設立されたアイ・ブレインサイエンスは、9月10日よりスマホで脳の状態を手軽に計測できる「ミルダケタッチ」と、計測で判った弱点に合わせてゲーム感覚でAIが問題を出す脳トレーニング「ブレインアセット+」の2機能を有する一般向けアプリ「ミルダケケア」の販売を開始した。
 このアプリの販売は、軽度認知障害(MCI)に「なってから」ではなく「なる前から」脳の状態を“見える化”して「育成」し、社会全体の仕組みとして認知症予防を進める「ゼロ次予防」の拡大を目的としたもの。
 脳資産を測る「ミルダケタッチ」は、記憶力、注意力、見当識など6つの課題種別からの設問を、利用者がスマホ画面をタッチして回答していくもの。画面に触れる速さも加味して、脳の健康度を算出する。結果は2025大阪関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンのビッグデータを元に、点数で示され、時間の経過にともなう変化を確認できる。
 脳を育てる「ブレインアセット+」は、「ミルダケタッチ」で判明した弱点に合わせた問題をAIが作成し、難易度に応じて2万問の中から問題を出すゲーム感覚のトレーニングアプリで、脳年齢の維持に役立つことが期待される。
 3分間で測定できる「ミルダケタッチ」で脳の健康度を把握し、「ブレインアセット+」(1日5分)で楽しくゲーム感覚の脳トレーニングを行い、再度「ミルダケタッチ」でトレーニング効果が確認できるのが大きな特徴だ。
 この2機能を持つ「ミルダケケア」はiOSおよびAndroid用があり、サブスクリプション販売している。今後、英語、中国語、韓国語、ベトナム語などの多言語化も可能。
 日本における認知症とMCI患者の推計数は、1000万人を超え、今後も増加することが予測される。世界における認知症患者数も2050年には1億3150万人を数えると言われており、認知症対策は世界的な課題となっている。

2025大阪・関西万博のビッグデータ解析で「脳のピークは20代、30代から衰え始め40~50代で低下」が判明

大阪ヘルスケアパビリオンのリボーン体験ルート 体測定ポッド

 こうした中、2025大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンでは、「リボーン体験ルート」の「脳ランク」測定において、約50万人のビッグデータを取得された。「脳ランク」測定は、同パビリオンの総合プロデューサーを務めた森下竜一大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授の研究室が開発した“視線を利用したアイトラッキング式評価法”を用いられた。ここで得られたノウハウが今般発売された「ミルダケケア」の技術基盤になっている。

森下氏

 一般社団法人日本認知症予防学会の理事長も務める森下氏は、「万博レガシーのビッグデータを解析したところ、脳の働きのピークは20代で、30代から少しずつ衰え始め、40~50代、特に50代以降で急激に低下することが判った。50~60代では、男性の方が脳年齢の低下が激しかった」と話す。これらの結果から「認知症予防は、40代、50代からの早期対応が極めて重要になる」と訴えかける。

 森下氏らが開発したアイトラッキング式評価法は、数分間映像を眺めるだけで、その視線の動きから低ストレス、簡易、客観的に認知機能を簡便に評価できる優れものだ。
 従来の認知機能検査法(MMSE)や長谷川式検査は、10~20分程度医師との対面による問診形式で行われるため被験者の精神的ストレスが高く、間違いを家族に知られたくないという心理も働く。医師の労力的負担も大きい。加えて、客観的な評価がボトルネックとなっていた。

深度センサと顔認証技術を利用したアイトラッキング式評価法

 一方、アイトラッキング式検査法を用いれば3分で同様の詳しい検査ができるので、認知症の早期発見・予防への活用に期待が大きい。アイトラッキング式検査法で認知症の診療支援に用いられる医療機器プログラム「ミレボ」は、2023年10月、医療機器製造販売承認を取得。2025年に保険適用され、大塚製薬から販売されている。
 アイ・ブレインサイエンスでは、このアイトラッキング式評価法を用いた一般用アプリMIRUDAKEを販売しており、「絵画再生・画像再生」(記憶力)、「計算」(注意力)、「時間・場所」(見当識)、「視空間」(形)、「言語」、「仲間外れ」(判断力)の6つの課題種別で設問を構成。1回の計測は約3分で全11問より採点する。全問を「正解を見つめていた時間」で一律平滑に評価し、脳の健康度を算出する。結果は点数だけでなく金・銀・銅でも示され、時間の経過にともなう変化を確認できる。
 だが、MIRUDAKEは、タブレット端末を必要とするため、「家庭でもっと手軽に使えるアプリがほしい」という声が寄せられていた。そこで開発されたのが、スマートフォンで手軽に使える一般向けアプリの「ミルダケケア」だ。

極めて重要となる40代、50代から認知症予防
一般向けアプリ「ミルダケケア」で早期対応を

 「ミルダケケア」は、「ミルダケタッチ」により脳の健康をサブ解析により判断、記憶と言語といった脳の機能ごとに計測できるので、「ブレインアセット+」で個々の機能に応じた課題に対応できる」とアプリのスペックを説明する森下氏。
 さらに、「その結果の確認を繰り返すことで、実際に自分に合致した運動習慣や、摂取すべき健康食品が判ってくる」と説明する。 加えて、判断力や記憶力、社会性や創造性を含めた脳の働きを「脳資産」と称して、「自分で“脳の資産”を見て、増やすことができる」と強調する。
 「ブレインアセット+」は、「ミルダケタッチ」による測定で判った弱点に合わせてゲーム感覚でAIが問題を出す脳トレーニングアプリだ。
 従来の脳トレーニングアプリは、「認知機能改善に関して効果が薄い」と言われていたが、「ブレインアセット+」は、AIが個々の苦手とする課題に促した設問を作成。難易度に応じて2万問の中から問題を出すため、「学習効果が高い。頭打ち効果は無く、苦手な問題もスキップできないため、脳年齢の維持に役立つことが期待される」。

認知症予防学会
MCIが可逆的に戻る「脳フレイル」に着目した認知症予防のさらなる前倒しを提唱

 認知症予防学会(代表理事:森下竜一氏)では、MCIが可逆的に戻る状態を「脳フレイル」として捉え、認知症予防をさらに前倒しする考え方を提唱している。
 森下氏は「MCIは、半分は正常に戻るが、残りの半分はそのままの状態であったり進展したりする。従って、MCIよりもさらに前の回復が見込みやすい段階に着目する必要がある」と力説する。
 その根拠として大阪・関西万博から得たビッグデータを再度示し、「認知症予防は、適切に介入すれば改善が期待できる40代、50代の“脳フレイル”の時期から実施しなければならない」と断言し、「MCI早期の人と正常でも“物忘れ”が気になる人への介入の重要性」を強調する。

教育や食、街づくりを通じて社会全体で認知症を防ぐ“ゼロ次予防”の推進も

 森下氏は、認知症予防学会が推奨する認知症の「ゼロ次予防」の重要性にも言及する。同学会では、脳資産を測り、守り、育てる「ウエルブレインプロジェクト」をキャッチフレーズにしている。
 その実現には、教育や食、街づくりを通じて社会全体で認知症を防ぐ“ゼロ次予防”が不可欠となるからだ。 また、認知症予防では、社会インフラ自体を認知症予防に向けることに加えて、「脳資産の“見える化”が非常に重要になる」と指摘する森下氏。「脳資産は加齢とともにどんどん減っていくので、若い時から自分で測定して増やすトレーニングをする必要がある」と呼びかける。

“ゼロ次予防”実現で日本認知症予防学会、博報堂、アイ・ブレインサイエンス等が連携

 認知症の“ゼロ次予防”では、9月11日に日本認知症予防学会、博報堂、アイ・ブレインサイエンス、OptimAIze Consultingの4者で締結されたた包括連携協定も見逃せない。
 同協定は、「認知症になってから対処する」という従来の対症療法から、生活者が自らの脳の認知機能を前向きにケアするという新たな文化の定着を目的としたもの。
 学術、先端テクノロジー、そして社会実装の専門知見を持つ4者が一体となり、科学的エビデンスに基づいた信頼性の高い予防行動を取りやすい環境づくりを共同で推進し、生活者による予防行動の実践・普及を目指していく。
 その中で、日本認知症予防学会は、認知症予防に関する専門的な学術知見に基づき、科学的エビデンスの観点から、プロジェクト全体への学術的な監修・助言や、予防に関する客観的な評価の仕組みづくりの検討を行う。
 博報堂は、マーケティングおよびビジネス構築の知見を活かし、同連携による取り組みを社会に広く浸透させるためのプロセスの設計や、プロジェクト全体の推進をサポートする。
 アイ・ブレインサイエンスは、 アイトラッキング(視線計測)、「ミルダケケア」など独自の認知機能評価技術や認知機能維持・向上技術などの先端テクノロジーに関する知見を提供し、予防サービスの検討を技術面から支援する。
 OptimAIze Consulting社は、AIを組み込んだシステムの開発・実装支援、およびデータを安全に活用するためのセキュアなデータ基盤の構築を支援する。
 今後、認知症予防学会では認知症予防でエビデンスが得られた「生活習慣」、「運動」、「食生活」、「健康食品」「アプリ」などの認定を推進していく予定である。
 なお、「ミルダケケア」の価格は、「ミルダケタッチ」の機能単体で500円/月、「ブレインアセット+」を含む価格は2980円/月で、サブスクで何回でも実施できる。両アプリは、次のQRコードよりダウンロードできる。

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