J&Jは22日、ライブリバントの皮下投与製剤「リブロファズ」(一般名:アミバンタマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ、遺伝子組換え)について、非小細胞肺がんに関する製造販売承認を取得したと発表した。
対象は、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」と「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。リブロファズは、同適応症に対して、日本国内で初めてかつ唯一、皮下投与製剤として承認された薬剤である
今回の承認取得は、国際共同P3試験PALOMA-3(NCT05388669)及び国際共同P2試験PALOMA-2(NCT05498428)結果に基づくもの。両試験の結果から、リブロファズはライブリバントと同様の有効性が期待できることが示された。
PALOMA-3試験は、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失変異(ex19del)またはL858R変異を有する局所進行性又は転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、アミバンタマブ(遺伝子組換え)の皮下投与とラゼルチニブの併用療法の薬物動態、有効性および安全性を評価する試験である。
アミバンタマブの皮下投与製剤であるリブロファズとラズクルーズ(一般名:ラゼルチニブ)の併用療法は、アミバンタマブの静脈内投与製剤であるライブブリバント®とラズクルーズの併用療法と比較して、アミバンタマブの薬物動態における非劣性を示した。
アミバンタマブの初回投与時間は、静脈内投与で1日目および2日目に各5時間から皮下投与で1日目のみの約5分に短縮され、インフュージョンリアクション(IR)の発現率は静脈内投与群で66%、皮下投与群で13%であった。
PALOMA-2試験のコホートは、化学療法歴のない EGFR 遺伝子エクソン 20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌注患者を対象に、アミバンタマブ皮下投与、カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムの併用投与の有効性、安全性及び薬物動態を評価した非盲検非対照試験である。
主要評価項目である医師判定による奏効率は 76% (95%CI、64-86) であった。
また、コホート1及び6は、化学療法歴のない EGFR 遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、アミバンタマブ皮下投与とラゼルチニブの併用投与の有効性、安全性及び薬物動態を検討する非盲検非対照試験で、主要評価項目である医師判定による奏効率は77%(95%CI、68-84)であった。
コホート3bでは、オシメルチニブ単独投与による治療後に増悪したEGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、本剤、カルボプラチン及びペメトレキ セドナトリウムの併用投与の有効性、安全性及び薬物動態を評価した。医師判定による奏効率は47%(95%Cl、35-59)であった。
肺がんは世界的に最もよく知られているがんの1つで、死亡率も最も高いがんである。全ての肺がんのうち、NSCLCは80~85%を占める。さらに、NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異の一つはEGFR遺伝子の変異で、NSCLCの約35%~40%がEGFR遺伝子変異を有すると推計されている。EGFR遺伝子変異を有する進行性NSCLC患者の5年生存率は依然として低いままである。
◆赤松弘朗和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 准教授のコメント
リブロファズ配合皮下注の承認取得は、EGFR変異陽性のNSCLC患者さんとそれを支える医療従事者にとって、治療体験の改善となる喜ばしい進展である。
この新たな進展により、患者さんの治療の負担を軽減し、QOLを向上させ、患者さんにとって本当に大切なことに費やす時間を提供することができると期待している。
◆クリス・リーガーJohnson &Johnson Innovative Medicine Japan代表取締役社長のコメント
リブロファズ皮下注製剤は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者さんの一次治療で用いられるライブリバントとラズクルーズの併用療法がもたらす長期的な生存延長効果を維持しつつ、治療の利便性を向上させることに寄与する。今回のリブロファズ承認取得が、患者さんの投与にかかる時間的負担を軽減し、より安心して治療を継続できる環境づくりに貢献できることを期待している。

