ALS治療薬「エダラボン」事業を約3900億円で塩野義製薬に譲渡 田辺ファーマ

 田辺ファーマは22日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「エダラボン」事業に関する日米を含むグローバル権利の塩野義製薬への譲渡契約を同日締結したと発表した。
 同契約に伴い、田辺ファーマは、対価として手続き完了時に総額約3900億円受け取る。加えて、一定の条件を満たした場合には、将来の売上に応じたロイヤルティを受け取る。
 一方、塩野義製薬は、年間売上1000億円以上のエタボラン事業が、2026年度以降の売上収益および利益へ継続的に貢献する見通しだ。
 米国のエタボラン事業については、田辺ファーマの米国グループ会社タナベファーマアメリカがラジカヴァ(エタボラン)に関する事業会社「RADICAVA事業会社」を新設し、塩野義製薬の米国グループ会社シオノギインクが完全子会社化し事業を継承する。完全子会社化は、2026年4月1日以降を予定している。
 なお、同契約については規制当局の承認が必要となる。日本を含む米国以外の地域の承継時期については、今後検討し決定していく。また、同契約によって現行のサプライチェーンや製品の供給状況に、変更は生じない見込みである。
 田辺ファーマは、今回の譲渡により財務基盤を強化し、臨床パイプラインへの戦略的投資やこれから打ち出していく将来ビジョンに沿った新たな機会の創出を可能にする。これにより日本の市場への再投資を促し、導入や研究開発を通じたパイプライン拡充をもって、日本の事業基盤を強化する。
 一方、塩野義製薬は、今回のエタボラン事業買収により、日米を含むグローバルでの知的財産等の全権利を獲得し、QOL疾患のポートフォリオを拡充する。
 希少疾患領域に精通した人材と事業運営に関するノウハウを取り込むことで、米国における強力な事業基盤を獲得する。同社は、社会的影響度の高いQOL疾患の中で、脆弱X症候群やJordan症候群、ポンぺ病といった希少疾患に対する治療薬の開発を推進している。さらに、本年12月1日に継承した日本たばこ産業の医薬事業においても、アンメットニーズが高い希少疾患に対する開発品を複数有している。
 塩野義製薬は、今回の事業買収により、希少疾患に対する取り組みをさらに加速させる。加えて、現在開発中の希少疾患治療に対する複数の開発品についても、必要とする患者に速やかに提供できる体制の構築を進めていく。

◆手代木功塩野義製薬代表取締役会長兼社長CEOのコメント
 エダラボンは、ALSという深刻な疾患に苦しむ患者さんのアンメットニーズに応える革新的治療薬である。こうした高い価値のある治療選択肢を多くの患者さんお届けできることを、大変光栄に思う。
 同時に、希少疾患領域で、年間1000億円以上の売上を誇る製品を社会に提供し続けるという使命は、当社の果たすべき大きな責任であることを実感している。現在、開発を進めている希少疾患に対する複数の開発品についても、一日でも早く、必要とされる患者さんにお届けできるように、グループ一丸となって取り組んでいく。

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