アステラス製薬は18日、ファイザーと共同開発中の「PADCEVTM」(一般名:エンホルツマブベドチン、抗体-薬物複合体[ADC])と抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法について、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)を対象としたP3相EV-304試験(KEYNOTE-B15試験)の中間解析において良好な結果を得たと発表した。
EV-304試験では、シスプラチンを用いた化学療法に適応のあるMIBC患者を対象に、術前術後の補助療法としてのPADCEVとキイトルーダの併用療法と、現在の標準治療である術前補助化学療法(ゲムシタビンとシスプラチン)を比較している。
EV-303試験に続くEV-304試験の良好な結果は、より早期の膀胱がんにおける、化学療法を用いない治療法として、重要なエビデンスとなることが期待される。
中間解析で同併用療法群は、術前化学療法群と比較して、無イベント生存期間(EFS)、および全生存期間(OS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目(EFS)と副次評価項目(OS)を達成した。
また、その他の副次評価項目である、術前補助療法としてのPADCEVTMとキイトルーダの併用療法と術前化学療法を比較した病理学的完全奏効(pCR)率についても、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
同併用療法群の安全性プロフィールは、既存の治療レジメンで知られているプロファイルと同様であった。
膀胱がんは、世界で9番目に多いがんであり、世界中で毎年61万4000人以上(その内米国では約8万5000人)が膀胱がんと診断され、MIBCは膀胱がんの約30%を占めている。シスプラチンに適応があるMIBC患者に対する現在の標準治療は、シスプラチンを用いた術前化学療法とそれに続く手術である。だが、約半数のMIBC患者が、手術後の再発を経験するとされている。
同併用療法は、現在シスプラチン適応のMIBCにおける術前術後の補助療法として承認されていない。EV-304試験の結果については、今後の学会等で発表するとともに、承認申請の可能性を検討するためにグローバルで規制当局と協議する予定だ。
また、シスプラチンを用いた化学療法に不適応のMIBCにおいて、良好な結果が得られたEV-303試験(KEYNOTE-905試験)に基づき、PADCEVとキイトルーダまたはキイトルーダ+ベラヒアルロニダーゼ アルファ-pmphの併用療法は、術前術後の補助療法として、米国FDAから承認を取得している。
なお、同件によるアステラス製薬の通期業績への影響は、2026年3月期連結業績予想に織り込み済みである。

