キイトルーダと化学療法±ベバシズマブの併用療法 P3比較試験で卵巣がんの疾患進行・死亡リスク低下 MSD

 MSDは、キイトルーダと化学療法±ベバシズマブの併用療法について、プラチナ抵抗性再発卵巣がんに対して化学療法±ベバシズマブと比較したP3相KEYNOTE-B96試験の第1回および第2回中間解析において、疾患進行または死亡のリスクを低下したと発表した。
 同試験の結果は、プラチナ抵抗性再発卵巣がんに対する免疫チェックポイント阻害剤を含む治療レジメンの試験として初めてのもの。このデータに基づき米国FDAは、プラチナ抵抗性再発卵巣がんに対するキイトルーダと化学療法±ベバシズマブの併用療法の生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を優先審査の対象として受理した。FDAにより、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日は、2026年2月20日に指定されている。
 第1回中間解析(フォローアップ期間の中央値は15.6カ月)において、キイトルーダと化学療法±ベバシズマブの併用療法群(n=322)では、プラセボと化学療法±ベバシズマブ群(n=321)と比較して、プラチナ抵抗性再発卵巣がんの全患者集団の疾患進行または死亡のリスクが30%低下し(HR=0.70 [95% CI, 0.58-0.84]; p<0.0001)、本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)に統計学的に有意で臨床的に意味のある延長が認められた。
 12カ月PFS率はキイトルーダ群では33.1%(95% CI, 27.7-38.5)、プラセボ群では21.3%(95% CI, 16.6-26.4)であった。
 腫瘍にPD-L1発現(Combined Positive Score[CPS]≧1)の認められる患者において、キイトルーダと化学療法±ベバシズマブの併用療法群(n=234)では、プラセボと化学療法±ベバシズマブ群(n=232)と比較して、疾患進行または死亡のリスクが28%低下した(HR=0.72 [95% CI, 0.58-0.89]; p=0.0014)。12カ月PFS率はKEYTRUDA®群では35.2%(95% CI, 28.8-41.7)、プラセボ群では22.6%(95% CI, 17.0-28.7)であった。
 第2回中間解析(フォローアップ期間の中央値は26.6カ月)においても、キイトルーダ群ではPD-L1発現(CPS≧1)患者さんにおいて死亡のリスクがプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群と比較して24%低下し(HR=0.76 [95% CI, 0.61-0.94]; p=0.0053)、主たる副次評価項目である全生存期間(OS)に統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が認めらした。
 12カ月OS率はキイトルーダ群では69.1%、プラセボ群では59.3%であった。18カ月OS率はそれぞれ51.5%、38.9%であった。
 治療関連有害事象(TRAE)はキイトルーダ群(n=320)の97.8%、プラセボ群(n=318)の95.3%に発生し、グレード3〜5のTRAEはそれぞれ67.5%、55.3%であった。死亡に至ったTRAEはキイトルーダ群では0.9%、プラセボ群では1.6%であった。安全性に関する新たな懸念は特定されていない。
 全グレードの免疫関連有害事象およびinfusion reactionsはキイトルーダ群では39.1%、プラセボ群では18.9%であった。このうち最も高頻度(10%以上の患者)に認められたのはキイトルーダ群では甲状腺機能低下症(17.8%)であった。死亡に至った免疫関連有害事象はキイトルーダ群では0.6%で、プラセボ群では0例であった。

◆腫瘍プログラム責任者であるニコレッタ・コロンボ(European Institute of Oncology婦人科、博士)のコメント
 プラチナ抵抗性再発卵巣がん患者さんの疾患進行または死亡のリスクを低下させる治療は非常に限られている。KEYNOTE-B96試験の結果は、プラチナ抵抗性再発卵巣がんの治療を大きく前進させ得ることを示すものであり、化学療法±ベバシズマブにペムブロリズマブの追加により、患者さんに新しい効果的な治療の選択肢を提供できる可能性がある。

◆ガーセル・アクタンMSD研究開発本部 グローバル臨床開発担当バイスプレジデント(博士)のコメント
 今回のデータは、キイトルーダの婦人科がんにおけるこれまでの良好なデータに加わるもので、キイトルーダをプラチナ抵抗性卵巣がん患者さんに使用できる可能性が示された。免疫療法として初めてプラチナ抵抗性再発卵巣がん患者さんの生存期間の延長が認められたこのキイトルーダを含むレジメンは、各患者さんのニーズに沿ったさらなる治療の選択肢を提供する当社の取り組みを示すものである。このデータはプラチナ抵抗性再発卵巣がんなどの患者さんの治療方針を変える可能性を秘めている。

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