塩野義製薬は21日、グラム陰性菌感染症治療薬「セフィデロコル」について、リアルワールドデータの最新解析で、良好な臨床効果と早期使用による臨床転帰の改善が確認されたと発表した。
同データは、19~22日の4日間、米国ジョージア州アトランタで開催されている米国感染症学会週間(IDWeek 2025)において報告された。IDWeek 2025では、他の抗菌薬に感受性を示さない病原体を含む治療困難な病原体へのセフィデロコルの活性を示すデータも追加発表された。
今回公表されたのは、セフィデロコルの国際的後ろ向き観察研究であるPROVE研究から得られた米国地域におけるリアルワールドエビデンスである。
米国患者群のコホート解析では、セフィデロコルによる治療を受けた重症患者における臨床的治癒率(症状が改善または消失し、再発や死亡が認められない割合)を評価した。
同解析において、セフィデロコルを投与された508例の患者背景は次の通り。
・解析対象患者のうち57.3%が集中治療室(ICU)で治療を受けており、47.6%が人工呼吸器など生命維持のための臓器機能補助を受けていた。
・感染症の内訳は呼吸器感染症(53.5%)、皮膚・軟部組織感染症(14.6%)、血流感染症(9.3%)であった。
・主な原因菌は、緑膿菌(29.9%)、アシネトバクター・バウマニ(21.7%)、腸内細菌目細菌(11.4%)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(4.9%)であった。また、感染者の29.9%は複数のグラム陰性菌が同時感染した複数菌感染症であった。
解析の結果、全体の臨床的治癒率は70.1%であり、良好な臨床効果が示された。また、標準的治療が効果不十分または無効であることを確認後に代替的にセフィデロコルを使用(救済療法)した患者の治癒率は54.3%であったのに対し、耐性菌による感染が疑われるなどの経験的な知見に基づき原因菌同定前から早期にセフィデロコルを使用(経験的治療)した患者の治癒率は73.7%と高い傾向が示された。
これらの結果は、セフィデロコルの幅広い菌種による難治性感染症への有効性と、重症感染症患者へのセフィデロコルの早期かつ適切な使用に対する新たなエビデンスを示すものである。