第一三共は20日、ダトロウェイ(Dato-DXd/DS-1062 、 抗 TROP2 抗 体薬 物 複 合体[ADC])について、 転移性尿路上皮がん一次/二次治療を対象としたグ ロ ー バ ルP2試験 ( TROPION-PanTumor03)において好結果を示したと発表した。同サブ試験の最新データが、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025)で発表されたもの。
また、前治療歴のある転移性尿路上皮がん患者を対象としたグローバルP2/3試験(TROPION-Urothelial03)の最初の患者への投与を開始したことも明らかにした。
TROPION-PanTumor03試験は、子宮内膜がん、胃がん、前立腺がん、卵巣がん、大腸がん、尿路上皮がん、胆道がんを含む複数の転移性固形がん患者を対象とした7つのサブ試験で構成されるグローバルP2試験である。
局所進行性または転移性の尿路上皮がんにおける同剤とrilvegostomig(PD-1/TIGITバイスペシフィック抗体)との2剤併用群の有効性について、シスプラチン不適応の患者への一次治療(22名)において、客観的奏効率は68.2%、病勢コントロール率は95.5%であった。無増悪生存期間の中央値は、同解析時点において未だ到達していない。
プラチナ製剤ベースの化学療法歴のある患者への二次治療(18名)では、客観的奏効率は38.9%、病勢コントロール率は83.3%、無増悪生存期間の中央値は12.5ヵ月であった。
安全性については、同剤およびrilvegostomigの既知の安全性プロファイルと同様の傾向であった。グレード3以上の薬剤に関連した有害事象は、一次治療において18.2%、二次治療では38.9%の患者に認められた。
間質性肺疾患(ILD)については、一次治療において4.5%(1名)、二次治療において11.1%(2名)、ILD独立判定委員会により薬剤と関連のあるILDと判定されたが、グレード3以上は認められなかった。
TROPION-Urothelial03試験は、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法による治療中または治療後に病勢進行が認められた局所進行性または転移性尿路上皮がん患者を対象に、同剤とプラチナ製剤ベースの化学療法 (カルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法の有効性および安全性を、ゲムシタビンとプラチナ製剤ベースの化学療法との併用療法と比較して評価するグローバルP2/3試験である。
P2相パートにおける主要評価項目は客観的奏効率で、副次評価項目には病勢コントロール率、奏効期間、全生存期間および安全性等が含まれる。P2相パートの結果に基づき、P3相パートにおける同剤の推奨投与量を決定する。P3相パートにおける主要評価項目は無増悪生存期間および全生存期間で、副次評価項目には客観的奏効率、病勢コントロール率および安全性等が含まれる。
日本を含むアジア、欧州、オセアニア、北米および南米において約630名の患者を登録する予定である。なお、同試験は、乳がんと肺がん以外のがん種を対象とした同剤の初めての申請用試験となる。
第一三共は、転移性尿路上皮がん治療に新たな選択肢を提供できるよう、これらの試験を通じて、同剤の開発を加速させていく。