2025年度版「肥満」と「肥満症」の日本人意識調査結果公表 ノボ ノルディスク ファーマ

肥満症の認知率増加も、自身の肥満を医療機関で相談したくない人が半数

 ノボ ノルディスク ファーマは、2025年度版「肥満」と「肥満症」に関する日本人9400名 (20-75歳)の意識実態調査結果を発表した。
 同調査では、肥満症の認知率は前年比で4.3ポイント増と過去と比較して大きく進展したものの、自身の肥満について医療機関で相談をしたくないと回答した人が全体の半数を占めた。
 同調査は、2021年より毎年ノボ ノルディスク ファーマが実施している、第三者調査会社を通じて「肥満」または「肥満症」の疑いがあるBMI (体格指数) 25以上の男女を対象に行ったインターネット調査である。
 本年度の調査では、肥満症治療の選択肢が増えたことを踏まえ、従来通り肥満症の認知率を探る一方で、減量やセルフケアに関する意向を中心とした調査から、ペイシェントジャーニー (患者さんが病気を認知し、医療機関で診断・治療を進めていくプロセス) のステップで重要となる「医療機関への相談検討・相談フェーズ」における障壁と促進要因へと調査の内容をシフトし、その詳細を分析した。
 その結果、肥満症の認知率は13.0%と過去の推移と比較して大きく進展した一方で、自身の肥満について「(医療機関へ) 相談したい」と回答した人は15.2%、「(医療機関へ) 相談したくない」と回答した人は50.5%と、医療機関への相談意向は高くないことがわかった。
 この要因としては、自己責任感や病状の軽視などの心理面に加え、情報不足が相談のバリアになっていると考えられ、今後の啓発活動において肥満症の疾患としての認知を高める活動と同時に、相談フェーズへの支援がより一層重要であることが示された。調査結果の主なポイントは次の通り。
【調査結果の主なポイント】

・肥満症の認知率は、前年比で4.3ポイント増の13.0%と、今までの推移 (2024年度8.7%、2023年度8.3%) の中で最も大きく進展した。“肥満症疑いあり”層における認知率は2025年度で13.5%、2024年度で10.8%、2023年度で10.2%と比較的認知率が高い層であったが、本年度は“肥満症疑いなし”層で前年度比5.4ポイント増の12.6%の認知率を獲得したことが全体の認知率を高めた要因であると考えられる。
 “肥満症疑いなし”層におけるこの進捗の大きな要因は明らかではないが、少なくとも、肥満症に関する情報源として「ソーシャルメディア/ブログ」が“肥満症疑いあり”層と比べて、“肥満症疑いなし”層に影響を及ぼしていることがわかった。肥満症の認知率は、◆全体: 13.0% (前年比+4.3ポイント)、◆肥満症の疑いあり: 13.5% (前年比+2.7ポイント)、◆肥満症の疑いなし: 12.6% (前年比+5.4ポイント)であった。
 肥満症の「認知」には至らないが、肥満と肥満症の違いを「聞いたことがある」と回答した人は33.7%と、過去調査 (2024年度25.6%、2023年度25.4%) の中で最も高いスコアと伸び率を記録した。
 肥満症の認知率が高まった一方で、自身の肥満について「医療機関で相談したい」と回答した人は15.2%、「相談したくない」と回答した人は50.5%と、自身の肥満に関しての医療機関への相談意向は高くなかった。
 肥満度別の医療機関への相談意向では、肥満度が1度から3度へ高まるほど「かなり相談したい」と回答した人の率が高くなる一方、肥満4度 (BMI40以上) では「全く相談したくない」が31.3%となり、肥満区分の中で最も高いことがわった。
 肥満4度の人の傾向として、肥満1~3度の人よりも肥満症の認知率が低く、医療機関に相談をしたくない理由として、肥満1~3度の人と比較して「相談しても無駄だと思ったから」「医療機関に行くとお金がかかるから」を挙げた人が多くみられた。肥満区分ごとの医療機関への相談意向は次の通り。

自身の肥満について、「(医療機関へ) 相談したい」と回答した人
※「かなり相談したい」「やや相談したい」計
△全体: 15.2%
△肥満1度 (BMI25-30未満): 14.2%
△肥満2度 (BMI30-35未満): 18.0%
△肥満3度 (BMI35~40未満): 23.9%
△肥満4度 (BMI40以上): 18.1%

自身の肥満について、「(医療機関へ) 相談したくない」と回答した人
※「あまり相談したくない」「全く相談したくない」計
△全体: 50.5%
△肥満1度 (BMI25-30未満): 52.7%
△肥満2度 (BMI30-35未満): 44.7%
△肥満3度 (BMI35-40未満): 34.7%
△肥満4度 (BMI40以上): 39.1%

自身の肥満について、「(医療機関へ) 全く相談したくない」と回答した人
△全体: 29.2%
△肥満1度 (BMI25-30未満): 30.2%
△肥満2度 (BMI30-35未満): 25.8%
△肥満3度 (BMI35-40未満): 22.4%
△肥満4度 (BMI40以上): 31.3%

 医療機関への相談意向が高くない原因として、自己責任感や病状の軽視などの心理面に加え、情報不足が相談のバリアになっていると考えられる。医療機関へ自身の肥満に関して相談した経験がない理由として高いスコアを獲得した項目は、「肥満は自己責任だと思うから」が29.1%と最も多く、次いで「医療機関へ行くとお金がかかるから」が23.1%、「相談するほどの肥満だと思っていないから」が20.3%となっており、これらはいずれも「特に理由はない (19.3%)」よりも上回る結果となった。
 また、「病院に相談する際にハードルとなっているもの」を探ったところ、費用面やどの診療科で受診できるのかがわからないといった、肥満症治療に関する情報が不足していることが原因となっていることがわかった。
 肥満の悩みを医療機関に相談したことがない理由 上位3つ
△肥満は自己責任だと思うから 29.1%
△医療機関へ行くとお金がかかるから 23.1%
△相談するほどの肥満だと思っていないから 20.3%

肥満の悩みを医療機関に相談するときにハードルとなっている理由上位3つ
△費用がどのくらいかかるかわからない 29.9%
△どの診療科に相談すればよいかわからない 22.8%
△特にハードルとなっているものはない 20.9%

 全体の中で「自身の肥満の悩みを医療機関へ相談したことがある」と回答した人は9.0%で、病院受診・医師への相談のきっかけになったことを聞いたところ、「健康診断で勧められたから」が最も多い45.8%、次が「肥満に伴う健康障害が心配だったから」が39.3%、その次が「専門家の意見を聞きたかったから」が23.5%となった。
 また、「肥満症を認知している」層に、肥満症治療について調べる際に信頼する情報源を聞いたところ、「かかりつけ医・主治医」が36.4%、「専門家や医療機関のウェブサイト」が22.1%、「身近で肥満症を治療した経験がある人」が11.4%と、治療に関しては医療機関や専門家、または経験者からのアドバイスが重視されていることがわかった。

◆小谷啓輔ノボ ノルディスク ファーマ 心血管・代謝内分泌マーケティング本部本部長のコメント
 肥満症に対する社会的認知は、今年度の調査で13.0%と過去と比較して着実に進展を見せた。これは、疾患としての肥満症の理解が少しずつ広がっていることを示す重要な指標である。
 一方で、自身の肥満について『相談したくない』と回答した人が50.5%に上るなど、医療機関への相談意向は高くはない。このギャップの背景には、過去の調査でも問題視されていた『自己責任感』や『病状の軽視』といった心理的要因だけでなく、『肥満症治療に関する情報が不足している』ということもあると判った。
 2024年度の肥満症の診断率は2023年度と同水準で推移した。医療従事者の尽力により、一定の成果は維持できているものの、さらなる改善には新たなアプローチが必要と考えている。当社は医療従事者、そして患者さんの声を丁寧に拾いながら、次の一手を検討していく。
 また、今後は、肥満症の疾患としての認知をさらに高めるとともに、調査でも明らかになったように、ペイシェントジャーニーの中でも特に『相談フェーズ』における支援を強化することが求められる。当社は、肥満症に取り組む企業として、患者さんが孤立することなく、医療機関とつながりながら適切な支援を受けられる環境の整備を目指している。

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