ファイザーは19日、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬「ナルティークOD錠」について、日本で初めてとなる片頭痛の急性期治療および発症抑制を対象に製造販売承認を取得したと発表した。
今回の承認は、18歳以上の片頭痛患者を対象とした国内および海外の臨床試験の結果等に基づくもの。今回の承認により、片頭痛発作の急性期治療と発症抑制の両方に有効な経口薬が、新たな治療選択肢として加わる。片頭痛に苦しむ患者のライフスタイルに応じた治療選択とよりよい生活に貢献するものと期待される。
リメゲパントは、CGRP受容体を可逆的に阻害するCGRP受容体拮抗薬だ。CGRPは片頭痛発作中に血中で増加することが知られており、疼痛シグナルの伝達に関与すると考えられている。リメゲパントはCGRPの作用を抑制することで、片頭痛の諸症状を軽減させると考えられている。
片頭痛は、しばしばみられる疾患で、世界で約14%、日本では成人人口の約8.4%が罹患している。日本における有病率は男性で3.6%、女性は12.9%と報告されている。ズキズキと脈打つような中等度から重度の頭痛が4~72時間持続することが特徴で、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、通常は気にならないような光、音、においを不快に感じる人が多いとされている。
また、頭痛が始まる直前に視覚異常などの前兆を伴う患者さんも一部存在する。片頭痛患者の多くは発作時の頭痛やこれらの随伴症状のために、日常生活や仕事が大きく障害される。
さらに、発作のない時にもこれから起こるかもしれない発作に対する不安から、予定を立てるのが難しいなどの社会的負担を抱えている。世界規模で実施される各種疾患の日常生活への支障度調査で頭痛性疾患、とくに片頭痛は障害度の高い疾患として常に上位にランクされている。