杏林製薬は16日、間質性肺疾患治療薬「KRP-R120」(一般名:エフゾフィチモド[遺伝子組換え])について、P3試験(EFZO-FIT試験)において主要評価項目が達成されなかったと発表した。
主要評価項目である「経口ステロイド(OCS)漸減終了後におけるOCSの1日平均投与量のベースラインからの変化量」において、プラセボと比較し統計学的に有意な差が認められなかったもの。
同剤は、aTyr社が創製し、杏林製薬が日本における開発、販売に関する独占的権利を保有している。
同試験結果を受け、杏林製薬とaTyr社は、KRP-R120に関する今後の開発計画について協議を進めていく。
EFZO-FIT試験は、肺サルコイドーシスを対象疾患として、日本を含めた10の国と地域で実施されたKRP-R120を静脈内投与した際の有効性及び安全性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験で、KRP-R120の2つの用量(3mg/kg、5mg/kg)を4週毎に合計12回静脈投与し、プラセボと比較している。
その結果、主要評価項目である「経口ステロイド(OCS)漸減終了後におけるOCSの1日平均投与量のベースラインからの変化量」において、プラセボと比較し統計学的に有意な差が認められず、主要評価項目は達成されなかった(p=0.3313)。48週時点でのOCSの1日平均投与量は 5mg/kg 群で平均2.79mg、プラセボ群で平均3.52mgであった。
一方、同試験の統計解析計画は階層的評価に基づいて設計されているため、主要評価項目が達成されなかったことから、参考情報としての解析結果となるが、5mg/kg群において、48 週時点でのステロイドフリーの達成率は52.6%(プラセボ群40.2%、p=0.0919)、KSQ-Lungスコアの48週時点でのベースラインからの改善は、10.36(プラセボ群6.19、 p=0.0479)、48 週時点で KSQ-Lung スコアの改善かつステロイドフリーを達成した患者の割合は、29.5%(プラセボ群14.4%、p=0.0199)であった。
また、KRP-R120は、良好な忍容性、及びこれまでの知見と一致した安全性プロファイルを示し、新たなリスク等は認められなかった。
同試験の解析結果については、 9月30日に開催される欧州呼吸器学会議(ERS)で発表する予定である。なお、同試験に係る費用は2026年3月期の連結業績予想に織り込み済みである。
