肺高血圧症患者・家族のためのウェブサイト「肺高血圧症コンパス」開設 MSD

 MSDは28日、肺高血圧症の患者と家族のための新しいウェブサイト「肺高血圧症コンパス」(https://www.ph-compass.jp/)を開設したと発表した。
 肺高血圧症(PH)は、心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の血液の流れが悪くなることで、肺動脈の血圧が高くなる疾患である。
 肺動脈の血圧が高くなると、心臓の右心室に負担がかかり、やがて右心不全に至る。肺高血圧症を治療せずに放置すると、数年以内に命を落としてしまう場合もある。PHは原因となる疾患に応じて大きく5つに分類されるが、そのうちの肺動脈性肺高血圧症(PAH)と慢性血栓閉塞性肺高血圧症(CTEPH)は予後不良と言われており、いずれも厚労省の指定難病(難治性呼吸器疾患)に認定されている。
 認定患者数は年々増加し、2023年度の調査ではPAHは4682名、CTEPHは5543名と報告されている。
 だが、近年では、特異的治療薬や外科治療、カテーテル治療などが開発され、治療成績が格段に改善している。一方で、肺高血圧症は、一般の人によく知られておらず、また、肺高血圧症に伴う症状に違う診断名がつくケースも多いため、症状発症から確定診断まで平均18カ月を要する疾患だ。
 MSDは、患者と家族が、希望を持って前向きに病気や治療に取り組んで貰えるよう、また、潜在患者がこの疾患のことを知り、一刻も早く診断を受けられるよう、その一助となる情報を提供するために同サイトを開設した。
 同サイトでは、PAHとCTEPHを中心に、次のような情報を提供している。

◆イラストを交えてわかりやすく解説/知りたい情報に素早くたどり着けるQ&Aコーナー
 疾患の症状と分類、診断・治療、医療費助成制度と申請方法などを、イラストを交えてわかりやすく解説している。知りたい情報に素早くたどりつける、Q&Aコーナーも設けている。
(監修:久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門 主任教授 福本義弘氏)。

◆肺高血圧症患者の声/患者と医師による座談会
 肺高血圧症と診断され、大好きだった保育の仕事を続けることが困難になった患者が、医療チームや周囲の支えを受けて病気と正面から向き合い、治療を続けながら職場復帰した体験談を紹介している(取材協力:肺高血圧症患者会 よつ葉の会)。
 また、肺高血圧症患者と医師による座談会では、患者や家族が抱えるさまざまな課題について、患者の体験談や専門医からのアドバイスなどが話されている。

◆患者のニーズに沿ったデザインと導線設計
 「治療に希望を持ちたい」「肺高血圧症ってなんだろう?」など、サイトを訪れる人の状況やニーズに沿って情報を整理し、欲しい情報にすぐにアクセスできるように導線を設計している。

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