27日~31日まで大阪・関西万博から“復興支援への感謝を込めて石川の伝統を世界に発信”

加賀鳶梯子登り(金沢市・加賀鳶梯子登り保存会)

 2024年元日に発生した能登半島地震や夏の豪雨で甚大な被害を受けた石川県は、8月27~31日まで大阪・関西万博会場EXPOアリーナ「Matsuri」、EXPOメッセ「WASSE」において、イベント「石川の日」を開催。復興支援への感謝を込めて、石川県に受け継がれてきた伝統文化、食文化など多彩な魅力を世界に発信する。
 27日に開かれた「石川の日 祭り」では、能登町の「あばれ祭」や珠洲市の「飯田燈籠山(とろやま)祭り」をはじめ、県内20団体、総勢1000人以上の出演者による多彩な伝統芸能や踊りが、万博会場の特設ステージに次々と登場。熱気と躍動感に満ちた演舞が、観客の心を揺さぶった。
 併せて、県内19市町の魅力を紹介するPRブース、1200年以上の歴史を持つ「輪島朝市」の出張、復興の歩みを伝える展示も展開され、前を向く能登の“いま”が、さまざまな表現を通じて会場全体に深く響き渡った。

お熊甲祭(七尾市・能登なかじま枠旗祭実行委員会)
 

 特に参加者の目を引いたのは、能登半島中央部に位置する七尾市から参加する「お熊甲(くまかぶと)祭」。約400年の歴史を持ち、五穀豊穣を願って毎年9月に行われる神事として、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。天狗面をつけた猿田彦の先導で、男衆が高さ約20メートルの真紅の旗を掲げ、鐘や太鼓の音に合わせて練り歩いた。なかでも「島田くずし」と呼ばれる、旗を地面すれすれまで傾ける妙技は、担い手の熟練と気迫が体現された。
 また、昨年は、豪雨に見舞われ中止となってしまった「お熊甲祭」も、本年9月の地元での開催に先立ち、万博会場にお目見え。4本の旗が掲げられ、現地でも披露したことのないハイペースで行われる「島田くずし」も参加者の関心を集めた。


 自宅が半壊するなど、震災の被害を受けながらも参加を決意した丸山善広氏(能登なかじま枠旗祭実行委員会企画担当)は、「氏子総代会(氏子の代表者や町会長などの集まり)でも“祭りの文化を絶やしてはいけない”という声が多く、震災には負けないというパワーを感じた」と強調。その上で、「多くの方々に助けられたことへの感謝を、万博の舞台で伝えたかった」と訴えかける。
 同イベントでは、華麗な風流灯籠「キリコ」の担ぎ体験をはじめ、獅子舞や太鼓たたきなど、実際に祭りの熱気を体感できる体験イベントも実施され、好評を得た。
 加えて、27日~31日は、「『石川の日』食文化イベント」がEXPOメッセ「WASSE」で開催される。石川県を代表する若手シェフが、能登・加賀の食材を使って作る「万博限定メニュー」を提供。
 さらに、地酒の飲み比べ、菓子職人による「和菓子づくり体験」、世界大会優勝経験を持つジェラート職人による「万博オリジナルジェラート」販売など、石川の食の魅力を「見て」「食べて」「触れて」楽しめる。。石川が歩む“復興と再生”、そして“未来への希望”を、五感で感じられるまたとない機会となる。食文化イベントの概要は、次の通り。

【食文化イベント】 石川の美食、世界へ
 万博限定会席料理、地酒飲み比べ、世界最高峰のジェラートなど石川の食の魅力を五感で体感

◆日程=8月27日(水)~31日(日) 10時~21時(9時開場) ※31日は12時まで

◆場所=西ゲートゾーン EXPO メッセ「WASSE」

2025年大阪・関西万博 石川の日

 8月27日から31日までの「石川の日 食文化」では、県内の食と伝統の粋を体験できる多彩なプログラムが展開される。若手トップシェフ3人が、能登・加賀の旬の食材を用いて創作する「万博限定メニュー」は、輪島塗や九谷焼などの器に盛られ、昼夜それぞれ異なる会席の特別コースとして提供される(満席のため予約受付は終了)。
 その他、地元の蔵元が登壇する地酒セミナー(各回先着16名)や、和菓子職人から学ぶ和菓子づくり体験(各回先着20名)など、味わうだけでなく“触れて学べる”機会も充実している。
 石川県商工労働部 産業政策課 基幹産業・食文化推進グループ 専門員 栂宗一郎氏は「石川の魅力を五感で感じてもらえる体験型のイベントになっている。本イベントを楽しんだあとは、ぜひ現地にも足を運んでほしい」と話す。 

 さらに、注目は世界一の称号を持つジェラート職人柴野大造氏による「マルガージェラート」。能登半島地震からの復興の想いを込め、能登の食材をふんだんに活かした万博限定のオリジナルフレーバーや、世界大会受賞ジェラートを含む6種が登場する。
 このほか、食をテーマにした伝統工芸品の特別展示や県産品の展示販売、復興を伝える映像展示などさまざまなコンテンツで石川の魅力を発信する。

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