アストラゼネカは23日、開発中のアルドステロン合成酵素阻害薬「バクスドロスタット」について、コントロール不良または治療抵抗性高血圧症患者を対象としたP3相BaxHTN試験において、平均座位収縮期血圧(SBP)を指標とする主要評価項目および、すべての副次評価項目を達成したと発表した。
P3相BaxHTN試験では、バクスドロスタットの2用量(2mgと1mg)で、投与12週時点においてプラセボと比較し、SBPについて統計学的に有意かつ臨床的に意義のある低下が示された。
また、同試験はすべての副次評価項目を達成した。コントロール不良または治療抵抗性の高血圧症患者に、標準治療に加えてバクスドロスタットまたはプラセボが投与された。バクスドロスタットの忍容性、安全性プロファイルは概して良好であった。
高血圧症患者さんは世界中に13億人いると言われており、高血圧症がコントロールされていない場合、心筋梗塞、脳卒中、心不全、腎臓病のリスクを高める。米国では、複数の治療を受けている高血圧症患者の約50%が血圧をコントロールできていない。アルドステロンの調節異常は、高血圧症の主な生物学的要因の1つであることを示すエビデンスが増えてきている。
BaxHTN試験は、2種類の降圧薬(うち1種類は利尿薬)で治療を受けているコントロール不良高血圧症患者および3種類以上の降圧薬(うち1種類は利尿薬)で治療を受けている治療抵抗性高血圧症患者を対象に、バクスドロスタットの安全性、忍容性および効果を評価するP3相、多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験である。
同試験のデータは、世界中の規制当局と共有され、2025年8月に開催される欧州心臓病学会(ESC)で発表される予定だ。
バクスドロスタットは、ファーストインクラスになりうる、血圧上昇や心血管・腎リスクの上昇を引き起こすホルモンを標的とした高い選択性を有するアルドステロン合成酵素阻害薬(ASI)である。現在、高血圧症および原発性アルドステロン症に対する単剤療法として、また慢性腎臓病および高リスクの高血圧症患者さんにおける心不全予防を目的としたダパグリフロジンとの併用療法として、臨床試験が行われている。
◆P3試験のprimary investigatorであるBryan Williams氏(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン医学部長、博士)のコメント
多くの人々が、複数の薬を服用してもコントロールが難しい高血圧症と闘い続けている。今回のP3相BaxHTN試験の結果は、標準治療に1日1回バクスドロスタットを追加投与することにより収縮期血圧が有意に低下したことを示しており、心血管疾患の主要な危険因子である高血圧症をコントロールする新たな治療法の可能性を示している。
◆Sharon Barrアストラゼネカバイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
収縮期血圧の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある低下を示したP3相BaxHTN試験の結果に、我々は非常に興奮している。本試験の結果は、アルドステロンの調節異常を標的とすることにより、バクスドロスタットが重要なアンメット・ニーズに対応できる可能性を示す説得力あるエビデンスであり、20年以上ほとんど革新が見られなかったこの領域において新規作用機序の治療をもたらすものである。