mRNA医薬初期開発治験薬の生産設備増強 富士フイルム富山化学

 富士フイルム富山化学は4日、富山研究開発センター内の治験薬製造施設に脂質ナノ粒子(LNP)製剤を製造する無菌製剤製造設備を新たに導入すると発表した。
 同設備の導入はmRNA医薬などの初期開発治験薬の小規模かつ迅速な開発ニーズへの対応を目的としたもの。同設備を活用し、mRNA医薬などの無菌製剤の初期開発治験薬製造サービスを2026年2月より開始し、CDMO事業のサービス拡大を図る。
 mRNA医薬の研究開発は、感染症に対するワクチンのみならず、がんワクチンや遺伝性疾患の治療薬など、多様な分野で急速に進展している。これらの研究成果をもとに早期に医薬品の創出につなげるためには、非臨床試験から臨床試験に至るプロセスにおいて、CMC(化学・製造・品質管理)開発や治験薬の製造を迅速に進め、開発スピードを高めることが求められる。
 今回、富士フイルム富山化学は、CDMO事業におけるプロセス研究・開発を行う富山研究開発センター内の既存の治験薬製造施設を増強する。これまでの富山第二工場(蓮町サイト)の中規模製造施設に加え、研究所内に機動的に治験薬を製造できる設備を増強することにより、顧客の非臨床から臨床段階へのスムーズな移行を支援し、mRNA医薬の開発スピードの向上に貢献する。
 現在、富士フイルム富山化学は、製薬企業やバイオベンチャーなどのmRNA医薬の開発をサポートするためにmRNAの合成からLNPの製剤化までを受託するEnd-to-EndのCDMOサービスを提供している。
 特に、LNPに関する技術に強みを持ち、富士フイルムグループのコア技術である合成技術やナノ分散技術を応用し、mRNAの送達効率が高いLNPの独自ライブラリを保有している。さらにLNP製剤のハイスループットスクリーニングやナノ粒子の品質の解析など、LNP開発を支援する分析サービスも幅広く展開している。

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