J&Jは4日、成人の全身型重症筋無力症治療薬「IMAAVY」(一般名:ニポカリマブ)について、既に承認された他のFcRn阻害剤との間接比較(ITC)において、同剤が一貫した持続的な症状コントロールを示したと発表した。
同データは、フィンランドのヘルシンキで開催された欧州神経学会(EAN)の2025年年次総会で発表された。
検証的P3相Vivacity-MG3試験のデータを含むITCに基づくと、IMAAVYは、既に公開されている他のFcRn阻害剤のP3試験データと比較し、第1週に同低度の症状緩和を示した。加えて、最長24週間の複数の時点で、MG-ADLaスコアにおいて優れたまたは統計学的に有意な改善を示し、一貫した持続的症状コントロールが確認された。これらの結果は、複数のITCの手法において、一貫していた。
共通した対照薬を設けない集団で調整したITCでは、一方の対照薬については第8~24週 、他方の対照薬については第10~14週 において、IMAAVYは他のFcRn阻害剤と比べてMG-ADLスコアの平均変化量の有意な改善を示した。
プラセボ調整による間接比較では、IMAAVYは、一方の対照薬との比較において、第8週及び第18~24週で、他方の対照薬との比較では第10~14週 に数値的により高い有効性を示し、第10週及び第12週 に統計学な有意差を示した。
サイクル投与に基づく治療は、次の投薬を開始するにあたり臨床評価を行い、再発していることを確認することが必要である。一方、IMAAVYは2週間に1回投与であるため、患者と医療従事者が治療予定を立てやすくなる可能性がある。
今回の解析は、IMAAVYによる治療により、患者の状態が予測可能になる可能性及び、gMGを治療する際の臨床的な意思決定に役立つ可能性を示唆している。なお、ニポカリマブは、現在日本国内で未承認である。
◆Saiju Jacobバーミンガム大学 免疫学・免疫療法学部教授(M.D.)のコメント
今回の解析により、母集団調整による有益な比較データが提供され、特定のgMG治療に対するIMAAVYの投与を裏づける新たなエビデンスとなった。IMAAVYがMG-ADLスコア平均変化量において示した有意な改善は、gMGなどの慢性疾患における持続的症状コントロールが、今でも必要であることを示す新たなエビデンスと言える。
◆Katie AbouzahrJ&J Innovative Medicineの自己抗体ポートフォリオ担当バイスプレジデント兼 母体・胎児免疫疾患領域リーダー(M.D.)のコメント
gMG患者さんの治療目標は、一時的な症状の軽減ではなく、持続的に症状をコントロールすることだと考えている。今回の解析からは、IMAAVYのプロフィールについて新たなインサイトが得られ、12歳以上のgMG患者さんにとってIMAAVYが新たな治療選択肢となる可能性が示された。我々は、IMAAVYがもたらすであろうベネフィットについて引き続き研究し、世界の規制当局と連携を続けながら、日常生活に支障を来すgMGのような自己抗体疾患の患者さんの支援に取り組んでいく。