ファンペップは19日、花粉症を対象疾患に開発中のアレルギーワクチン「抗体誘導ペプチドFPP004X」について、同日、国内で物質特許が成立し、特許庁から特許公報が発行されたと発表した。
同本特許は、FPP004X の用途(対象疾患)にかかわらず、物質そのものを広く保護する物質特許で、発明の名称:抗IgE抗体誘導用ワクチン組成物、出願人:大阪大学、ファンペップ、特許番号:7678465。なお、ファンペップは、同特許について大阪大学から独占的な実施権の許諾を受けている。
FPP004Xは、2024 年3月に塩野義製薬との間でオプション契約を締結しており、同社は、全世界での全疾患に対する独占的研究開発・商業化権の取得に関するオプション権を保有している。
花粉症は、スギやヒノキ等の植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応を起こすアレルギー疾患である。代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなど。
日本国内の全国疫学調査による有病率は、2019年に花粉症全体で 42.5%、患者数の多いスギ花粉症で38.8%と高く、またそれぞれ2008年と比較して 10%以上上昇している。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医薬品(内服薬)市場は約1700 億円(2019 年)。
このため、政府は、国民病とも言われ、多くの国民を悩ませ続けている花粉症を社会問題として捉え、花粉症対策に取り組んでいる。抗体誘導ペプチド FPP004X は、体内で IgEに対する抗体産生を誘導することで治療効果を期待するアレルギーワクチンである。IgE は、体内に入った異物を排除する働きを持つ抗体の一種で、花粉等の原因物質(アレルゲン)に結合するとアレルギー反応を引き起こす。
FPP004X は、免疫細胞に抗IgE抗体を一定期間産生させるため、アレルギーに対する持続的な効果が期待される。この特長を活かし、ファンペップは、花粉症を第一の適応症として、花粉飛散前に投与することでシーズンを通して症状を緩和できる患者にとって利便性の高い新しい治療選択肢の提供を目指している。
なお、同特許の成立は、ファンペップグループの 2025 年 12 月期業績に影響を与えるものではないが、同特許の日本での実施について独占排他権が認められたことを意味し、FPP004X 開発プロジェクトを強力にサポートするものだ。