ゼポジア 中等症から重症潰瘍性大腸炎での製造販売承認取得 ブリストル・マイヤーズ スクイブ

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節剤「ゼポジア」は、昨年12月27日、中等症から重症潰瘍性大腸炎の経口治療薬として国内で製造販売承認を取得した。
 適応症は、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎。
 ゼポジアは、S1P 受容体調節剤であり、S1P 受容体1および5に高親和性で結合し、リンパ球遊走の上流で作用する潰瘍性大腸炎治療に対する新規作用機序の治療薬である。1日1回の経口での服用が可能で、利便性の高さも特徴だ。
 同承認は、日本人の中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象とした国内第 2/3 相試験(RPC01-3103 試験=J-True North 試験)の結果にもとづくもの。試験では、臨床的有効性並びに粘膜治癒を含む内視鏡的及び組織学的な疾患活動性に対する有効性が認められ、かつその治療効果は長期にわたり持続し、安全性プロファイルも良好であったことが確認された。
 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患だ。厚労省の患者調査によれば、2021年の日本における特定医療費(指定難病)受給者のうち、潰瘍性大腸炎の総患者数は約 13万8000人とされている。
 主な症状には、下痢や血便、痙攣性または持続的な腹痛がみられ、重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こる。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現する場合ある。多くのケースでは、治療により症状の改善や消失(寛解)が認められるが、再燃する場合も多く、発病して年数が立つと大腸癌を合併するリスクも高くなる2。
 働く世代の若い患者も多く、日常生活における症状のコントロールにかかる心理的、物理的負担は少なくない。既存の治療法では、有効性が得られない場合や、利便性、安全性、アドヒアランスの問題で薬剤間の切り替えが必要なケースもあり 、特に中等症から重症の患者に向けた新規作用機序の治療法開発が望まれてきた。
 BMSでは、長期的な視点での安全性や有効性の確保と、患者の心理的負担軽減につながる治療薬の開発を目指してきた。今回の承認により、ゼポジアは中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者の新たな治療選択肢となり、患者のQOL向上が期待される。

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