MSDは9日、肺動脈性肺高血圧症治療薬「WINREVAIR」(ソタテルセプト)について、P3相ZENITH試験の中間解析において主要エンドポイントを達成したと発表した。
ZENITH試験は、死亡リスクの高い肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 機能分類IIIまたはIVの成人患者を対象にWINREVAIRを評価するもの。
最初の疾患状態の悪化/死亡イベント(全死亡、肺移植、またはPAH悪化に関連する24時間以上の入院)が発現するまでの時間を検討した主要エンドポイントを達成した。
同試験で、WINREVAIRはプラセボ(いずれもPAHの標準的なバックグラウンド治療に追加)と比較して、統計学的に有意で臨床的に意味のある、疾患状態の悪化/死亡イベントのリスク低下を示した。
この良好な結果を受け、独立データモニタリング委員会は、ZENITH試験を早期終了し、全参加患者に対し、非盲検の継続投与試験であるSOTERIA試験においてWINREVAIRの投与を受ける機会を提供するよう推奨した。予備的な評価において、有害事象および重篤な有害事象については両群間でバランスが取れていた。
WINREVAIRは現在、海外におけるSTELLAR試験の結果に基づき、米国および36カ国で承認されている。直近では、今年11月に日本で、STELLAR試験および日本人患者を対象とした非盲検P3試験の結果に基づき製造販売承認申請が行われた。
MSDでは、ZENITH試験の結果を今後の医学会で発表するとともに、規制当局に提出していく。
◆エリアブ・バールMSD研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサー(博士)のコメント
PAHは、疾患状態の悪化や死亡のリスクが高い重篤な進行性の疾患である。主要エンドポイントで非常に優れた有効性が示されたことを受け、ZENITH試験に参加されているすべての患者さんに、WINREVAIRの投与を受ける機会を提供する。
今回の結果は素晴らしく、今後PAH治療薬の開発試験のエビデンスの基準を高めるような内容であり、WINREVAIRがPAH治療のあり方を変革する可能性があることを示すものである。
◆肺高血圧症プログラム責任者のヴァレリー・マクラフリン博士(University of Michigan循環器内科 Kim A Eagle博士寄付基金教授)のコメント
ZENITH試験は、進行したPAH患者さんに対し、アクチビンシグナル伝達阻害剤のWINREVAIRを追加することで、死亡、肺移植、PAHによる入院のリスクを低下できるかどうかを評価するものであった。
ZENITH試験は非常に優れた有効性により、中間解析での研究の早期結論に至ったが、これはPAHに関する研究では初めてのケースである。WINREVAIRは、この分野に非常に大きな希望をもたらしてきた。この重要な試験に参加してくださっている治験責任医師や患者さんに感謝している。