ファイザーは12日、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ザビセフタ(一般名:注射用アビバクタムナトリウム・セフタジジム水和物」を発売したと発表した。
近年世界的に抗菌薬に対する耐性菌が増加しており、本邦でも基質拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)産生菌やカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)などのグラム陰性菌の耐性出現が報告されている。これらの細菌ではβ-ラクタマーゼを介することが耐性化の原因のひとつとされており、薬剤耐性を示すグラム陰性菌による感染症に対する新たな治療選択肢が求められていた。
ザビセフタは、セフェム系抗菌薬であるセフタジジム水和物に新有効成分のβ-ラクタマーゼ阻害薬アビバクタムナトリウムを配合した抗生物質製剤。アビバクタムナトリウムがβ-ラクタム系抗菌薬の耐性機序に関わるβ-ラクタマーゼのうち、AmblerクラスA、クラスCおよび一部のクラスDのセリン-β-ラクタマーゼを阻害することで、セフタジジム水和物がβ-ラクタマーゼ産生菌に対しても抗菌作用を発揮する。
薬剤耐性菌を含む原因菌による複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎、ならびにこれらの感染症に関連する菌血症に対する治療薬として90以上の国または地域で承認されており、β-ラクタマーゼ産生菌の増加が近年臨床上で問題となっている日本においても薬剤耐性(AMR)対策の新たな治療選択肢となることが期待される。
◆五十嵐啓朗ファイザー 取締役 執行役員 チーフ・オペレーティング・オフィサー兼インターナルメディスン/病院/抗ウイルス医薬品部門長代行のコメント
AMR対策の新たな治療選択肢としてザビセフタを発売できたことを嬉しく思う。新有効成分のアビバクタムと、開発されて40年以上が経過しているセフタジジムが配合されたユニークな製剤であり、海外でも広く臨床で使用されているザビセフタを日本でも提供し、日本のAMR対策に貢献できるように関連学会等と連携し、本剤の適正使用情報の提供を進めていく。