第26回近畿薬剤師学術大会が10日、「地域と薬剤師の調和~創造力とコミュニケーションの能力が未來への澪標(みおつくし)」をメインテーマに大阪市内で開催された。 同大会テーマは、健康づくり支援やそれぞれの地域で取り組む薬剤師・薬局の姿をより分かり易く国民に‟見える化”できるようにすることを目的としたもの。5年ぶりに完全対面として開かれた同大会には1300名が参加し、患者・生活者に寄り添う薬剤師・薬局の機能について活発なディスカッションが繰り広げられた。
学術大会では、2025大阪・関西万博大阪ヘルスケアパビリオン総合プロデューサーの森下竜一氏(大阪大学大学院医学研究科臨床遺伝子治療学寄付講座教授)が「2025大阪・関西万博から考える2050年のミライ医療・薬剤師の果たす役割とは」をテーマに特別記念講演を行った。
日本薬剤師会会長特別講演では、本年6月、新会長に就任した岩月進氏が「これからの薬剤師・薬局」について講演。今後の新たな薬剤師会のビジョンとして、「薬剤師が地域社会の何に貢献したのかをベースとした活動」の重要性を強調した。また、「調剤報酬・診療報酬~中医協委員からみた今後の診療報酬改定の展望」についての分科会も開かれ、大勢の参加者が耳を傾けた。
開会式では、乾英夫大会長が、まず、「‟いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマとした2025大阪・関西万博を来年4月に迎えた活気溢れる大阪の地で近畿学術大会を完全対面で開催できる運びとなった」とあいさつ。さらに、「2040年に向けて急速な人口減少、少子高齢化社会の中で社会保障の担い手の確保は非常に困難となり、地域社会の姿も激変し、そのスピードや変化も大きくばらつくと創造される」と明言した。
その上で、「これからの薬剤師・薬局については、この10年間で度重なる国の提言等により当面の目指すべき方向性が示され、実際の形として実現、実績を示すことが急務となっている」と指摘し、「この大会が、薬剤師が国民にとって必要不可欠な存在として信頼され、着実な成果を挙げる機会となることを祈念したい」と述べた。
来賓祝辞では、吉村洋文大阪府知事が、「半年後には、大阪・関西万博が開かれる。大阪には、400年前からの歴史をルーツとする製薬企業がたくさんあり、少彦名神社もある」と紹介。さらに、「いのち輝く未来社会を考え、共有し、次の未来社会を作って行くことは、薬剤師の皆さんの共通するところが多い」と指摘し、「さらなる高齢化社会を迎える中で、如何に豊かに命を大切に暮らしていける社会を築き上げるには、薬剤師の皆さんが果たす役割が非常に大きい。皆さんの力をお貸し頂きたい」と訴求した。
横山英幸大阪市長は、「大阪市は、今年7月から国家戦略特区として全国で初めて調剤業務の一部である‟薬剤の一包化”を薬局間で受託できるようになった。薬剤師の皆さんが調剤業務を効率化して対人業務に時間をかけて頂くことを目指したものである」と説明し、同制度への理解を呼び掛けた。
また、河上英治京都府薬剤師会会長は、2025年10月12・13日の両日、京都市で「そうだ、薬剤師に聞いてみよう」~プロフェッショナリズムの涵養(かんよう)~」をメインテーマに、第58回日本薬剤師会学術大会を開催することを告知し、同大会への参加を誘った。