MSDは18日、キイトルーダ、トラスツズマブ、化学療法との併用療法について、HER2陽性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん一次治療のP3相KEYNOTE-811試験の最終解析において、トラスツズマブと化学療法のみと比較して全生存期間(OS)を有意に延長したと発表した。
KEYNOTE-811試験は、ER2陽性の治癒切除不能な局所進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者に対する一次治療において、キイトルーダとトラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法を評価するもの。
同データは、同日、2024年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会の一般演題で発表され、The New England Journal of Medicineにも同時掲載される。
キイトルーダレジメンでは、フォローアップ期間の中央値50.2カ月(範囲:31.1〜64.4カ月)において、HER2陽性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者のITT解析対象集団において死亡のリスクがトラスツズマブおよび化学療法のみの場合と比較して20%低減し、統計学的に有意で臨床的に意味のあるOSの延長が示された(HR=0.80 [95% CI, 0.67-0.94]; p=0.0040 [p値の限界値 0.0201])。 キイトルーダレジメンを投与した患者のOSの中央値は20.0カ月(95% CI, 17.8-22.1)で、トラスツズマブおよび化学療法のみを投与した患者では16.8カ月(95% CI, 14.9-18.7)であった。
また、キイトルーダレジメンでは、PD-L1陽性(CPS ≧1)の患者さんにおいて、疾患の進行または死亡のリスクがトラスツズマブおよび化学療法のみの場合と比較して21%低下し、OSに臨床的に意味のある延長が認められた(HR=0.79 [95% CI, 0.66-0.95])。
PD-L1陽性(CPS≧1)の患者において、OSの中央値は、キイトルーダレジメン投与群では20.1カ月(95% CI, 17.9-22.9)で、トラスツズマブおよび化学療法のみの群では15.7カ月(95% CI, 13.5-18.5)であった。この試験において85%の患者がPD-L1発現陽性(CPS≧1)であった。
米国ではキイトルーダは、FDAが承認する検査でPD-L1陽性(CPS≧1)で、HER2陽性の治癒切除不能な局所進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者に対する一次治療において、トラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法が承認されている。
同適応は、腫瘍縮小効果と治療効果の持続に基づき迅速承認された。この適応症の承認維持の条件として、検証的試験による臨床上の効果の確認および説明が必要となる場合がある。FDAの迅速承認の取得後、同試験の2つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)とOSを達成した。この結果は世界中の規制当局に提供されている。
◆KEYNOTE-811試験首席治験責任医師のエレーナ・Y・ジャンジジャン氏(メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター消化器腫瘍科主任担当医)のコメント
胃がん、食道胃接合部がんの大半が進行してから診断され、診断時点における5年生存率は10%未満である。KEYNOTE-811試験の全生存期間の結果は良好で、トラスツズマブと化学療法にペムブロリズマブを追加することで、特定のHER2陽性およびPD-L1陽性胃がん、食道胃接合部がんの患者さんの生存期間を延長できることが示された。
◆M・キャサリン・ピエタンツァMSD研究開発本部グローバル臨床開発担当バイスプレジデントのコメント
KEYNOTE-811試験の新たな結果により、HER2陽性進行胃がん患者さんの無増悪生存期間と全生存期間が有意に延長し、2つの主要評価項目を達成した。
さらに、PD-L1発現陽性(CPS≧1)患者さんにおいてこれまでにない最大のメリットが示された。この新たな生存期間のデータは、世界中での承認の裏付けとなっているキイトルーダの一連のレジメンの強力なエビデンスに加わるものであり、有望な新しい治療の選択肢を患者さんに提供する重要性を示している。