武田薬品は2日、ジャパン ファーマ ビジネス ユニットJPBUおよび日本のR&D組織において、従業員の転進を支援する「フューチャー・キャリア・プログラム」(希望退職・転進支援プログラム)を実施すると発表した。
同プログラムの実施は、日本の主要事業部門の1つであるJPBUの事業運営体制の見直しおよび日本の研究開発(R&D)組織の今後の方向性に伴うもの。事業運営体制の見直しは、5月9日に同社が発表した複数年にわたる全社的な効率化プログラムの一環であり、様々な事業環境の変化に柔軟に対応し、今後も持続的に革新的な医薬品を創出・提供することを目的としている。
この見直しを通じ、組織の機動性向上、調達コスト削減、データ、デジタルおよびテクノロジー(DD&T)の活用をさらに推進していく。
武田薬品は、国内事業に関し、シャイアー社や日本製薬株式会社の事業統合を経て、血漿分画製剤を含む当社の革新的な医薬品を必要とする患者に継続的に提供できるよう事業運営体制を充実させてきた。一方で、社員の働き方は大きく変化し、AIの発達や情報入手チャネルの多様化などにより患者や医療関係者にとっても大きな環境変化が生じている。また、少子高齢化の進展や医療費適正化の気運の高まりなど、製薬産業を取り巻く環境は厳しさを増している。加えて、近年では事業運営や新たな技術の導入にあたり、患者や医療関係者、関係省庁との連携の重要性がますます高まっている。
これらの状況を鑑み、武田薬品は、日本における将来に向けた事業運営体制について慎重に検討を行った結果、JPBUおよび日本のR&D組織の変更を実施する。これらの変更に合わせ、両組織においては人員規模についても見直しが行われる。
JPBUでは、次の3つを目指す姿の柱とする。
◆Amplify Customer Experience:常に顧客に向き合い、価値のある顧客体験を追求する組織であり続ける。
◆Return to Growth:既存製品の価値最大化や新製品の上市成功に向けた取り組み、適正なコスト管理に基づき将来への投資を継続する。
◆Lead the Future Japan Healthcare:社内外のステークホルダーとの協業により、日本のヘルスケアシステムの構築に貢献する。
これらを念頭に各組織の機能を再定義した結果、JPBU内の事業部を、新薬を中心として事業成長の新たな源泉を育む事業部と、既存製品を中心としてより多くの患者に貢献し、新たな投資への基盤を強化する事業部の2つに再編成する。これにより、疾患領域別に専門性の高い情報提供活動を展開しながら、事業部間の連携をより強化し、それぞれの専門性をさらに生かしあう体制の構築を目指す。
また、DD&Tを駆使し多様なチャネルを活用して患者さんや医療関係者の現在および将来のニーズに寄り添い、活動の精度を向上させる。これらの進化を通じ、新薬を待ち望む患者にいち早く提供するとともに、成長製品や既存製品でより多くの患者に貢献し、事業の基盤を確固たるものにする。JPBUにおける組織体制の詳細については今後さらに検討を進め、必要に応じ開示する。
R&Dにおいては、有望な後期開発パイプラインを有しており、その進捗を加速することに注力している。これらのパイプラインを待ち望む人々に確実に提供できるよう努めるとともに、革新的な医薬品の創出における初期研究から臨床開発に至る流れを将来にわたり持続可能なものにすることを目指している。
R&D組織は、複数年にわたる全社的な効率化プログラムに沿う形で、グローバル全体で進化を続けており、日本においては、湘南および大阪の研究開発拠点機能を維持した上で、すでに変更を実施している米国や欧州、アジア、その他の地域に続いて必要な変更を実施していく。
また、JPBUおよび日本のR&D組織においては、事業運営体制の変更にあわせ、従業員の転進を支援する「フューチャー・キャリア・プログラム」(希望退職・転進支援プログラム)を実施する。同プログラムは、自らの生涯設計に基づき退職と転進を希望する従業員を支援するためのプログラムで、詳細については今後武田薬品労働組合と慎重に検討を重ね、内容を決定していく。