塩野義製薬は25日、同社が創製しヴィーブ社に導出した第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤「S-365598」について、非臨床試験で得られた既存薬とは異なる耐性プロファイルや、P1試験で得た良好な血中濃度の維持ならびに忍容性を第25 回国際エイズ学会(AIDS 2024)で発表することを明らかにした。
非臨床試験では、既存のインテグラーゼ阻害剤(INSTI)に耐性を示す、20 種類以上のHIVウイルスに対するS-365598の効果が評価された。その結果、S-365598は、既存のインテグラーゼ阻害剤とは異なる耐性プロファイルを有し、既存のインテグラーゼ阻害剤に耐性を示す変異に対しても、抗ウイルス活性を維持できることが示唆された。
P1試験では、HIV に感染していない被験者84 名を対象に、S-365598 の経口剤を投与し、薬物動態と安全性を評価した。その結果、S-365598 は十分な抗ウイルス活性を示す可能性がある血中薬物濃度を達成し、良好な忍容性を示した。さらに、投与中止に至る有害事象は認められなかった。
これらの初期データにより、S-365598は超長時間作用型の抗HIV薬として、次世代の有望な開発化合物であることが示された。現在、ヴィーブ社が、HIV非感染者を対象にS-365598 の注射剤での評価を行う第Ⅰ相臨床試験と、HIV 感染者を対象にS-365598の有効性および安全性と忍容性を評価するためのP2a試験を実施している。
S-365598は、長い半減期を有することから、低用量かつ3 ヵ月以上に1 回の投与で治療可能な超長時間作用型製剤として、開発を進めている。なお、塩野義製薬は、S-365598の導出に際し、ヴィーブ社とライセンス契約を締結しており、研究開発費用の一部を負担することで、上市後にヴィーブ社に導出している既存のインテグラーゼ阻害剤と同一の条件で、ロイヤリティー収入を受領する予定である。
なお、同件が2025年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。