4月スタートの「医師の働き方改革」 加速するタスク・シフト/シェアへの臨床検査技師の貢献 宮島喜文日臨技代表表理事会長インタビュー

宮島喜文日臨技代表表理事会長

 「医師の働き方改革」が4月から始まる。医師の長時間労働に支えられていた日本の医療の転換点ともいえ、国はその方策の一つとして、法改正によって、医療専門職の業務範囲の拡大を図って医療の質と安全を担保しようとしている。
 こうした中、日本臨床衛生検査技師会は17日、月刊誌「Wedge」に掲載された「医師の働き方改革に臨床検査技師がどう貢献できるか」をテーマとした宮島喜文日本臨床衛生検査技師会代表理事会長インタビューを公表した。概要は、次の通り(「Wedge」5月号、4/20発売より)。なお、全文は、同会HP[https://www.jamt.or.jp/news/asset/pdf/f2063c7c5d09546caafff8819c1b26406dcfa0fe.pdfより閲覧できる。

【宮島喜文日臨技代表表理事会長インタビュー概要】

 「医師の働き方改革」が4月から始まる。医師の長時間労働に支えられていた日本の医療の転換点ともいえ、国はその方策の一つとして、法改正によって、医療専門職の業務範囲の拡大を図って医療の質と安全を担保しようとしている。医師の働き方改革に臨床検査技師がどう貢献できるのかを、日本臨床衛生検査技師会代表理事会長宮島喜文氏に聞いた。

働き方改革の両輪 労働時間の制限と医療専門職の業務拡大

 医師は、本人はもちろん家族までも犠牲にして医療に取り組まざるを得ないという非常に厳しい労働環境におかれ、若手医師の過労死も社会問題になっている。さらに、医療の担い手が減少する中、診療業務の複雑化で医師の負担が増加していた。労務管理を徹底し、労働時間に制限を設けることは医師に健康的な生活をもたらすとともに、患者にとっても医療の質と安全を確保することになるといえる。法改正により、2024年4月から医師の時間外労働の上限規制が適用された。
 医師の働き方改革は労働時間を短縮させることだけで完結できない。医療専門職がそれぞれの能力を活かしてタスク・シフト/シェアを進めることで、医師の負担を軽減させ持続可能な医療の実現につながる。
 医師しかできなかった医療行為を現行制度下でも医療専門職が実施できる業務の抽出や、法改正によって制度上でも実施できる業務を定めた。これによって臨床検査技師は10行為が増え業務範囲が広がった。

出典:Medical Tribuneウェブ(2023年9月)

タスク・シフト/シェアを進める上での3つの課題 

 拡大した業務は厚生労働大臣が指定する研修を受けなければならないが、日本臨床衛生検査技師会の開催ですでに修了者は2万1000人を超している。
 タスク・シフト/シェアには①病院長などの管理者が理解して業務改善を進める熱意②医師の理解と協力③臨床検査技師が新しい業務に立ち向かう姿勢、これら3つの課題を解決する必要がある。

医療行為は患者と向き合うことから始まる

 臨床検査技師は長年、 血液や尿など検体検査、心電図などの測定業務が主だったが、今回の法改正により検査やその説明など患者さんと向き合う機会が増え、患者さんへ寄り添う姿勢が一層大切になる。今後、さらに少子高齢化が進むと、医療は需要を増すが人手不足が深刻になる。遠隔診療や人工知能・ロボットなどを活用して業務効率をあげるとともに、更なるタスク・シェア/シフトで業務量の均てん化を図ることが重要である。医師しかできない仕事に専念してもらうため、看護師や臨床検査技師の職務範囲を拡大し、活躍してもらうしかないと考える。
 

タイトルとURLをコピーしました