日本イーライリリーと田辺三菱製は8日、GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド」について、肥満症に対する承認申請を日本イーライリリーが規制当局に承認申請済みで、両社で日本における販売提携を行うと発表した。
同剤は、両社の販売提携契約に基づき2023年から両社にて販売提携を行っている2型糖尿病治療薬「マンジャロ皮下注」(一般名:チルゼパチド)と同一化合物で、糖尿病薬と同様に製造販売承認は日本イーライリリーが取得し、承認取得後の流通・販売を田辺三菱製薬が行う。医療関係者への情報提供活動は両社共同で行う。
チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の二つの受容体に単一分子として作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬である。同剤の構造は、天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子であるが、GLP-1受容体にも結合するように改変されており、選択的に長時間作用する。
日本では、2023年4月に2型糖尿病治療薬「マンジャロ皮下注」として新発売し、2.5mgから15mgまでの6規格を販売している。肥満症治療薬としては、2023年11月に米国において承認され、Zepboundの製品名で発売されている。
日本における「肥満」は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数、BMI25以上のものと定義されている。一方で「肥満症」とは、肥満があり、かつ肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されている。
肥満や肥満症は、生活習慣のみならず遺伝や環境などの様々な要因が関与しており、他の様々な健康障害と密接に関連していると言われている。
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、マンジャロおよび同剤の販売提携を通じてこれまで以上に緊密に協業し、日本の2型糖尿病や肥満症とともに歩む人々のより豊かな人生のため、医療の更なる前進に貢献できるよう努めていく。