ベーリンガーインゲルハイムは5日、協和キリンと線維化を伴う炎症性疾患に対する新規ファースト・イン・クラス治療薬の開発に向けたライセンス契約を締結したと発表した。
同社は、線維化を伴う炎症性疾患領域における専門性とリーダーシップを足がかりとして革新的な治療法を開発し、患者の転帰の改善を目標とする取り組みを進めている。今回の新たな開発プログラムは、同社の線維化を伴う炎症性疾患領域における取り組みの一環として推進するもの。
契約条件に基づき、ベーリンガーインゲルハイムは協和キリンより、線維化を伴う炎症性疾患に対する新規ファースト・イン・クラス治療薬について全世界での独占的開発権を取得する。
協和キリンは、契約一時金および開発・申請・商業化マイルストーン達成に際して成功報酬として、最大で 4 億 1000 万ユーロ(約650億円)を受領するほか、販売に応じたロイヤルティーを受領する権利を有する。
線維化を伴う炎症性疾患は、持続的な感染、自己免疫反応、アレルギー反応や組織損傷などの様々な要因により引き起こされる慢性炎症に起因する疾患だ。この疾患には、全身性強皮症、炎症性腸疾患、肺線維症などがあり、合併症や死亡の大きな原因となっている。
線維化を伴う炎症性疾患は、患者さんの生活に心身ともに大きな影響をもたらす疾患であり、全世界の死亡の3分の1以上を占めている。
ベーリンガーインゲルハイムは、線維化を伴う炎症性疾患の治療薬の研究開発におけるグローバルリーダーだ。同社は、「オフェブ」を特発性肺線維症(IPF)、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)、および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の治療薬として供給し、肺線維症治療を牽引してきた。
ホスホジエステラーゼ 4B(PDE4B)阻害剤である「BI 1015550」は現在、IPF をはじめとする進行性の線維化を伴う間質性肺疾患の患者を対象としたP3試験で評価中である。
◆Clive R. Woodベーリンガーインゲルハイムの創薬研究担当コーポレートシニアバイスプレジデント兼グローバルヘッド(Ph.D.)のコメント
線維化を伴う炎症性疾患の患者さんには依然として大きなアンメットニーズがある。今回、協和キリンとパートナー関係を築き、この新たな連携によって新規の革新的治療薬を当社のポートフォリオ品目として開発し、治療薬を患者さんにお届けする機会が得られたことを大変喜ばしく感じている。
◆山下武美協和キリンの取締役専務執行役員のコメント
このたび、ベーリンガーインゲルハイムとライセンス契約締結に至ったことをうれしく思う。今回導出する化合物は、協和キリンの革新的な創薬技術と疾患バイオロジーの理解から生まれたものだ。ベーリンガーインゲルハイムは線維化を伴う炎症性疾患の領域における高い専門性を有しており、この化合物を必要とする患者さんに届け、価値を最大化するための最良のパートナーであると我々は確信している。