武田薬品は28日、エンタイビオについて、点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法として米国FDAが承認したと発表した。
エンタイビオは、米国において、単回投与用プレフィルドペン製剤(ENTYVIO Pen)として10月末までに販売開始が見込まれている。さらに、中等症から重症の活動期クローン病の成人患者さんの治療薬として、エンタイビオ皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請(BLA)も、FDAにより審査中である。
エンタイビオのこの新たな投与経路は、VISIBLE1試験(SC UC試験)に基づいて承認された。VISIBLE1試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて導入療法としてエンタイビオの点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善 が得られた中等症から重症の潰瘍性大腸炎の成人患者を対象に、エンタイビオ皮下投与製剤の維持療法としての安全性および有効性を評価したP3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
6週時点で合計162名の患者さんが、2週間ごと投与のエンタイビオ皮下注射製剤108mg群およびプラセボ群に二重盲検法で無作為に割り付けられた(2:1)。
対象患者は、アザチオプリンまたは6-メルカプトプリンの12週間投与レジメン、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬による導入療法、またはコルチコステロイドのうち、少なくとも1剤において、効果不十分、効果減弱または不耐である患者であった。
主要評価項目は、52週時点における臨床的寛解(完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義)であった。
52週時点における臨床的寛解率において、エンタイビオ皮下注射製剤108 mgを維持療法として2週間ごとに投与した群では、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(エンタイビオ皮下注射群:46%、プラセボ投与群:14%、p<0.001)を示した。
臨床試験において、エンタイビオ皮下注射製剤の安全性プロファイルは、点滴静注製剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していたが、皮下注射製剤の副作用として注射部位反応(注射部位の紅斑、発疹、腫脹、挫傷、血腫など)が追加された。
エンタイビオ点滴静注製剤で最も多く報告された副作用は(発現率が3%以上で、プラセボ群より1%以上高い事象)、上咽頭炎、頭痛、関節痛、悪心、発熱、上気道感染、疲労、咳嗽、気管支炎、インフルエンザ、背部痛、発疹、そう痒症、副鼻腔炎、口腔咽頭痛および四肢痛であった。
◆Brandon Monk武田薬品U.S.メディカルシニアヴァイスプレジデント、米国消化器系疾患ヘッドのコメント
エンタイビオ皮下注射製剤のFDAによる承認により、患者さんや医師の皆さんは、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法において2つの投与選択肢を手にした。
生涯にわたる治療体験における様々なメディカルニーズ、状況および治療の好みに対応するため、当社は潰瘍性大腸炎に苦しむ患者さんのために全力で取り組んでいる。エンタイビオは、潰瘍性大腸炎の維持療法として点滴静注製剤と皮下注射製剤のいずれかの選択肢を提供する、FDAが承認した唯一の生物学的製剤である。
◆Bruce Sandsマウントサイナイアイカーン医科大学Dr. Henry D. Janowitz Division of GastroenterologyChief(博士)のコメント
VISIBLE1試験では、エンタイビオの皮下注射製剤により、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者さんにおいて寛解が得られる新たな投与選択肢を医師に提供できることが示された。
2014年の承認以降、エンタイビオは継続して強固な安全性および有効性プロファイルを構築してきた。今回の承認で、エンタイビオ点滴静注製剤の臨床プロファイルと一致した皮下注射製剤の選択肢を得ることができ、私や対象の潰瘍性大腸炎患者さんに維持療法における新たな投与法の選択肢が与えられたことに感謝している。