カルバペネム耐性菌感染症治療薬とメロペネムの併用 米国P1試験で好結果 北里研究所と住友ファーマ

 北里研究所と住友ファーマは19日、両者の共同研究を通じて創出したカルバペネム耐性菌感染症治療薬「KSP-1007(開発コード)」について、メロペネムと併用した米国P1試験で好結果を得たと発表した。
 同P1試験において、重篤な有害事象は認められず、良好な薬物動態が示されたもの。同試験結果とともに世界的に問題視されている多剤耐性菌に対する活性も含めて、6月15日~19日まで米国ヒューストンで開催されている米国微生物学会(ASM Microbe 2023)で発表された。
 同試験結果に関する抄録は、https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/10789/presentation/6827に掲載されている(英語のみ)。
 このほか非臨床薬効薬理データおよび非臨床薬物動態データを含めて、合計 8 演題のポスター発表、1演題の口頭発表が実施された。
 KSP-1007 は、産学官の連携事業である国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「医療研究開発革新基盤創成事業(Cyclic Innovation for Clinical Empowerment:CiCLE)」に係る研究開発課題の研究で見出された。
 世界的に問題視されている高度耐性菌は、カルバペネム系抗菌薬まで分解するβ-ラクタマーゼを産生するが、KSP-1007は、このβ-ラクタマーゼを広域かつ強力に阻害する作用を有している。
 さらに、世界的に汎用されているカルバペネム系抗生物質製剤メロペネム水和物(住友ファーマの国内製品名「メロペン」)と併用することで、カルバペネム耐性菌感染症に対しても有効な治療選択肢となることが期待されている。
 同剤は、2022 年 8 月に、米国FDAから細菌性の複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎に対する適格感染症治療製品(Qualified Infectious Disease Product)およびFast Track 指定を受けている。

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