明治は13日、乳タンパク質の一種であるα-ラクトアルブミン(α-LA)について、α-LAの継続摂取により月経前や月経中に起こる女性の心身のさまざまな不快感を緩和できることを確認したと発表した。
同研究成果は、Japanese Pharmacology & Therapeutics(薬理と治療)に掲載された(Jpn Pharmacol Ther vol.48 no.8 2020)。
近年、女性の就業率の上昇、生涯出生数の減少に伴う月経回数の増加や初産年齢の上昇などにより、月経関連の不快感による女性の日常生活への影響が社会課題として認識されるようになってきた。
明治は、これまでに、牛乳中に含まれるタンパク質の一種であるα-LAに、炎症や痛みの抑制などのさまざまな生理活性があることを確認している。
今回、臨床試験(ヒト試験)で月経前や月経中に生じる心身のさまざまな不快感の程度を評価し、α-LAに月経中の身体的な不快感を緩和する機能があることを明らかにした。
同研究は、健康な女性における牛乳由来成分α-ラクトアルブミンの月経に伴う心身の変化に対する緩和効果を無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で検証するもの。
同試験では25歳以上40歳未満の健常成人女性60名を被験者とした。60名を2つのグループ(30名ずつ)に分け、1つのグループにはα-LA 180 mg/粒を含有するカプセルを1日あたり5粒(α-LAとして900 mg)、各被験者の月経周期として1周期分(約1カ月)摂取し、他方のグループはα-LAを含まないカプセル(プラセボ)を同様に摂取した。
摂取期間中は、心身の変化や医薬品の服用状況などを電子日誌アプリ上の生活日誌で回答を得た。月経が来た初日には、3日前から月経前日までに自覚した月経に伴う心身のさまざまな不快感を思い出し、電子日誌アプリ上の月経に伴う心身の不快感の評価に関する調査票で回答(代表的な不快感35項目に関して4段階で判定)し、月経4日目には、月経初日から月経3日目までの状況を同様に回答を得た。
その後、月経周期1周期分の休止期間を経た後、α-LAを摂取したグループはプラセボを、プラセボを摂取したグループはα-LAを摂取し、同様の評価を実施した (図1)。
被験者60名中、55名が有効性解析対象者となった結果、月経中の身体的不快感に関する合計スコアにおいて、α-LAの摂取によって有意な緩和効果を認めた(図2左)。
項目別では、月経中の倦怠感、疲れ(図2右)と筋肉(首や肩など)のコリ、月経前の倦怠感、疲れにおいて有意な緩和効果が認められた。
こうした効果には、主として炎症や痛みの抑制などさまざまな生理活性があるα-LAの鎮痛作用が寄与していると考察された。
明治は、今後も健康に関連する課題と向き合った研究を続け、さまざまな方が活躍する社会づくりに貢献し、人々が笑顔で健康な毎日を過ごせる未来の実現を目指していく。