「pasritamig」とドセタキセルの併用療法 進行性前立腺がんP1b試験で好結果 J&J

 Johnson & Johnson(J&J)は17日、「pasritamig」(JNJ-78278343)とドセタキセルの併用療法について、進行性前立腺がんを対象としたP1b試験で好結を得たと発表した。
 pasritamigは、転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象として、ファースト・イン・クラスのT細胞リダイレクト二重特異性抗体だ。同併用療法の安全性プロファイルは、ドセタキセル単剤と概ね一貫しており、新たな、あるいは予期しない安全性シグナルは認められなかった。また、同併用療法は高い前立腺特異抗原(prostate-specific antigen: PSA)反応率及び持続的なPSA低下を含む臨床的に意義のある有効性を示し、今後の開発及びP3試験への継続を裏付ける結果となった。
 同試験の結果は、2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウムにおいて、初めて発表された。
 pasritamigは、T細胞表面に発現するCD3及びヒトカリクレイン2(KLK2)に結合することにより、免疫系を活性化する新規の作用機序を有する薬剤である。KLK2は、前立腺組織以外ではほとんど発現が認められず、前立腺がんに対して高い腫瘍特異性を有する新規標的分子である。
 pasritamigは、T細胞を活性化するとともにKLK2を発現する腫瘍細胞へ誘導することで、標的を絞った免疫応答を可能にする。この前立腺がんに対する特異的なアプローチは、免疫活性を前立腺がん細胞に集中させるよう設計されており、正常組織への影響を抑える可能性があるとともに、クリニックでの投与も選択肢の1つになる可能性があると期待されている。
 同試験では、アンドロゲン受容体経路阻害薬による治療後に病勢進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、外来でのpasritamigとドセタキセルの併用療法を評価した。
 患者の約半数(45%)は、タキサン系薬剤を含むレジメンによる前治療を1回以上受けていた。主要評価項目は、安全性及びP2/3試験に向けた推奨レジメンの特定であり、副次評価項目及び探索的評価項目では、PSA反応率を含む臨床活性を評価した。
 2025年12月9日時点で、51例の患者がpasritamigとドセタキセルの併用療法の投与を受けており、これらの患者は中央値で3種類(範囲:1~9種類)の前治療歴を有していた。
 PSA値が50%以上低下した患者さんの割合は、全体集団で64.7%、タキサン系薬剤による治療歴のない患者で75.0%であった。PSA値が90%以上低下した患者の割合は、全体集団で39.2%、タキサン系薬剤による治療歴のない患者で53.6%であった。
 骨転移のみを有し、タキサン系薬剤による治療歴のない患者では、PSA値が50%以上低下した割合及び90%以上低下した割合は、それぞれ88.2%及び76.5%であった。
 患者は、ドセタキセルの投与中止後もpasritamigの投与を継続することが可能であった。これらの患者では、ドセタキセルは3週間間隔で中央値6回、pasritamigが6週間間隔で中央値8回投与されており、長期にわたり持続的な病勢コントロールが可能であることが示唆された。
 pasritamigとドセタキセルの併用療法の安全性プロファイルは、転移性去勢抵抗性前立腺がんにおけるドセタキセルの既知の安全性プロファイルと概ね一貫していた。患者の20%以上に認められた主な治療関連有害事象(TRAE)は、疲労(60.8%)、脱毛(41.2%)、下痢及び悪心(各31.4%)、末梢浮腫(27.5%)、末梢感覚神経障害(25.5%)及び味覚障害(23.5%)であった。
 pasritamigに関連する有害事象のうち、患者の10%以上で認められたものは、疲労(33.3%)及び非慢性の下痢(11.8%)であった。グレード3以上のTRAEは、ドセタキセルに関連するものが29.4%の患者で認められ、pasritamigに関連するものは2%であった。サイトカイン放出症候群(いずれのグレードも含む)及び治療関連死亡は、認められなかった。
 現在、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象にpasritamigを評価する2つのP3試験が進行中である。KLK2-comPAS(NCT07164443)試験ではpasritamig単剤療法が評価されており、KLK2-PASenger(NCT07225946)試験ではpasritamigとドセタキセルの併用療法が評価されている。これらのP3試験に加え、pasritamigはより早期段階の併用療法試験においても評価されている。
 Pasritamig単剤療法は、中国においてブレイクスルーセラピー指定を取得するとともに、米国FDAよりファストトラック指定を受けており、継続的な臨床開発を後押ししている。

◆同試験治験担当医師のShahneen Sandhu氏(ピーター・マッカラムがんセンター准教授、腫瘍内科医及び研究者, M.D., Ph.D.)のコメント
 今回のデータは、進行性前立腺がんの患者さんにとって重要な一歩となる。多くの患者さんの治療アウトカムが依然として不良なこの疾患において、pasritamigとドセタキセルの併用療法で、有望な臨床活性及び良好な安全性プロファイルが認められたことは、このアプローチの可能性を裏付けるとともに、さらなる臨床開発を強く後押しするものである。

◆Charles Drake J&J Prostate Cancer and Cross Cancer Immuno-Oncology担当Vice President( M.D., Ph.D.)のコメント
 本試験の結果から、pasritamigが前立腺がん患者さんの治療成績を有意に改善する可能性があると信じている。本疾患に対し既存のアプローチでは十分な効果が得られなかった中で、今回の結果は、pasritamigとドセタキセルとの併用療法によるP3試験実施を支持するものとなる。本併用療法で認められた持続的なPSA低下を含む結果は、この新たなアプローチの可能性を裏付けるものであり、患者さんに変化をもたらすことができる革新的な治療薬の開発に取り組む当社のコミットメントを示すものである。

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