
住友ファーマの木村徹社長は30日、2025年度第3四半期決算説明会で会見し、「10月31日に2025年度通期業績予想を上方修正したが、それと比べても3Q実績はコア営業利益は112.8%の過達となっている」と報告。その上で、「当初は、今年度の下半期が当社の損益ボトムになると考えていたが、Q3の実績は想定以上の結果で損益還元が順調に進んでいる」と強調した。
2025年度通期業績予想のさらなる上方修正については、「Q3の好業績は、為替の影響やオルゴビクスの在庫積み増しなどが寄与している。例年当社のQ4は、北米での保険のリセットや経費増の傾向があるため据え置く」としたものの、「10月の上方修正予想を十分に上回る着地点到達」に自信をみせた。現在のバランスシート上の有利子負債残高は2590億円で、現預金等を勘案すれば約2000億円の水準となる。
住友ファーマの2025年度第3四半期経営成績(コアベース)は、売上収益3477億円(対前年同期比18.6%増)、コア営業利益1094億円(408.5%増)、営業利益1098億円(730.0%増)、親会社の所有者に帰属する四半期(当期)利益1077億円(407.5%増)となった。
売上面は、オルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)およびジェムテサ(過活動膀胱治療剤)の大幅伸⻑、販売マイルストン等により増収となった。利益面は、事業構造改善効果の発現や再生・細胞医薬事業の再編等により、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が減少し、大幅増益となった。
基幹製品の売上収益は、オルゴビクス1156億円(対前年同期比99.9%増)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)109億円(8.4%増)、ジェムテサ723億円(67.5%増)。
オルゴビクスは、自己負担の上限引き下げでメディケア患者数が増加し、製品価値の訴求によって泌尿器科クリニックを中心に⼤学病院・ネットワーク病院の患者数が増加した。2025年1月以降新規患者数も⼤幅に増加し、12月は新規患者数・数量ともに過去最⾼となった。
昨年1月にファイザーとの販売提携が終了したマイフェンブリーは、営業体制をジェムテサ(一般内科医担当)と合わせて再編し、営業効率を向上。競合品のプロモーションも縮小し、GnRH市場が鈍化する中で数量を維持した。
ジェムテサは、β3市場が拡⼤するなかで着実に数量を伸ばし3Q計画が過達となった。価格面では、ぺイヤーミックスがポジティブに影響した。また、製品の臨床的優位性の浸透、自己負担の上限引き下げによるメディケア患者数の増加などにより12月の数量は過去最⾼となった。競合品と比べての新規処⽅の伸びや、新しい適応症(前⽴腺肥⼤症を伴う過活動膀胱)を活用した男性患者へのDTC・疾患啓発活動の拡大も大幅増収に繋がった。
国内主要製品売上収益は、抗精神病薬のラツーダ107億円(4.2%増)、2型糖尿病薬のツイミーグ79億円(39.4%増)、同メトグルコ57億円(0.2%増)、同エクア・アクアメット87億円(58.3%減)、統合失調症治療薬ロナセンテープ39億円(8.2%増)となった。
気になる国内市場の戦略について木村社長は、「ツイミーグ(ミトコンドリアの機能改善等)、オゼンピック(GLP1受動態作動薬)、メトグルコ(ビグアナイド薬)の2型糖尿病薬をしっかりと伸ばしていきたい」と明言。さらに、「自社製品である非自己 iPS細胞由来パーキンソン病薬が承認されれば、それを拡大していく。抗がん剤のエンゾメニブ(急性骨髄性白血病)、ヌビセルチブ(骨髄線維症)も上市したい」と話した。
その一方で、「今、大きな新製品が無いのが一つの悩みになっている。今後、日本のパイプラインをどうするのか今考えている」と明かした。さらに、「一般論」とした上で、「去年年末の薬価改定も含めてインフレの中でコストが上昇する中での薬価引き下げ、トランプ政権のMFN(米国の薬価を最も薬価の低い国の水準まで引き下げる最恵ま国待遇)」など国内医薬品市場を取り巻く厳しい環境を指摘し、「薬価の低い日本市場の魅力はますます下がる。非常に心配している」と語った。
