非ステロイド型選択的MRA「ケレンディア」 慢性心不全の適応追加承認取得 バイエル薬品

 バイエル薬品は22日、非ステロイド型選択的MRA「ケレンディア」(一般名:フィネレノン)について、慢性心不全の適応を追加する承認を厚労省より取得したと発表した。
 同剤はこれまで、2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の治療に使用されており、慢性心不全の適応追加により心腎連関治療へ一層の貢献を目指す。
 日本の心不全患者数は、正確な統計はないものの推計120万人である。人口の高齢化に伴い心不全患者数は増加を続けており、2030年には130万人を超えると推計されている。心不全患者のうち約6 割は、心機能の指標であるLVEF が40%以上である。
 LVEF 40%以上の心不全患者では、高血圧や心房細動などの複数の疾患が併存し、病状の管理は複雑になる。LVEF40%未満の心不全に対する治療は進歩して予後の改善傾向が見られる一方、LVEF40%以上の心不全では治療の選択肢が限られており、予後不良が課題となっている。
 ケレンディアへの慢性心不全の適応追加は、日本人を含むLVEF 40%以上の心不全患者約6000 人を対象とした国際共同P3試験(FINEARTS-HF)のデータに基づくもの。
 同試験においてケレンディアは、主要評価項目である心血管死およびすべて(初回および再発)の心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)の相対リスクを統計学的有意に16%減少させた(発現率比[rateratio:RR]0.84[95%CI、0.74-0.95;p=0.0072])。また、ケレンディアの忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと一貫していた。
 これらの試験データは、2024 年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で発表され、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載された。
 同試験結果よりケレンディアは、LVEF 40%以上の心不全に対して有効性・安全性のエビデンスを有する唯一のMRAとなった。「2025 年改訂版心不全診療ガイドライン」においてケレンディアは、LVEFの軽度低下した心不全(HF mrEF:LVEF 41~49%)およびLVEFの保たれた心不全(HFpEF:同50%以上)、つまりLVEF 40%以上の心不全治療においてMRA の中で唯一、推奨クラスIIaで推奨されている。
 同ガイドラインではまた、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象としたP3試験のFIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKD で得られたエビデンスを基に、2 型糖尿病かつCKD を有する患者の心不全発症予防に対してケレンディアが推奨クラスⅠ・エビデンスレベルA で推奨されている。
 バイエル薬品は、2 型糖尿病を合併するCKD に加え、慢性心不全の治療薬となったケレンディア、さら
に慢性心不全治療剤「ベリキューボ」(一般名:ベルイシグアト)を通じて、心腎連関治療のアンメットメディカルニーズに一層の貢献を目指す。

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