リツキシマブとレナリドミドの併用療法 米国で再発・難治性濾胞性リンパ腫の承認取得 アッヴィ

 アッヴィは2日、T細胞誘導二重特異性抗体「リツキシマブ」と「レナリドミド」との併用療法(EPKINLY+R2)について、米国において再発または難治性の濾胞性リンパ腫で承認を取得したと発表した。
 対象は、再発または難治性(R/R)の濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者。
 今回のEPKINLYの承認は、一定期間のEPKINLY+R2併用療法と標準治療であるR2療法を比較評価したピボタルP3試験(EPCORE(R) FL-1)結果に基づくもの。
 この試験により、同併用療法がFL治療を変革させ、より早期の治療で患者さんに貢献できる可能性が示された。
 FLはBリンパ球から発生する非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つで、通常、低悪性度(進行が緩徐)である。米国では毎年約1万5000人がFLを発症し、既存治療では治癒困難と考えられている。患者は多くの場合において再発し、一部の患者では、NHLの悪性度の高い病型であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に形質転換する場合がある。
 P3相EPCORE FL-1試験は、低悪性度から高悪性度の患者を含む幅広い患者を対象として実施された。同試験においてEPKINLY+R2併用療法は標準治療であるR2療法と比較して病勢進行又は死亡のリスクを79%減少させた[ハザード比(HR):0.21、95%信頼区間(CI):0.13%〜0.33%、p<0.0001)。
 2つある主要評価項目のうちの1つである全奏効率(ORR)は、EPKINLY+R2併用療法群で89%(216/243例、95%CI:84%〜93%、p<0.0001)、R2療法群では74%(181/245例、95%CI:68%〜79%)であった。
 もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、EPKINLY+R2併用療法群では未到達(NR)(95%CI:21.9ヵ月〜NR)、R2療法群では11.2ヵ月(95%CI:10.5ヵ月〜NR)であった。完全奏効(CR)を達成した患者の割合は、EPKINLY+R2併用療法群では74%(181/243例、95%CI:69%〜80%、p<0.0001)、R2療法群では43%(106/245例、95%CI:37%〜50%)であった。
 EPCORE FL-1試験におけるEPKINLY+R2併用療法の安全性プロファイルは、各治療法(エプコリタマブおよびR2)の既知の安全性プロファイルと概ね一致していた。
  EPKINLY+R2併用療法は、R/RのFL患者に対する治療としてFDAより画期的治療薬指定(BTD)を取得していた。BTDは、重篤な疾患の治療法として、臨床的に重要な評価項目において既存療法を大幅に上回る改善をもたらす可能性があることが予備的な臨床エビデンスにより示されている薬剤の開発および審査を迅速に進めることを目的としたFDAの制度である。

◆Lorenzo Falchiメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターリンパ腫専門医(M.D.)のコメント
 再発の濾胞性リンパ腫は治癒困難で複雑かつ経過の長い疾患となりうるもので、より早期の治療でその経過を変えることができる新たな治療法が強く求められている。
 EPCORE FL-1試験でEPKINLY+R2併用療法が示した結果は極めて大きな意味を持つものであり、R2療法を受けた患者さんと比較して持続的な奏効を示した。今回のデータは、化学療法を含まず、外来で投与可能な治療法で得られた結果であり、EPKINLY+R2併用療法が新たな標準治療となる可能性を示唆している。

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