2026年3月期第2四半期決算は減収・減益 為替影響とパイプラインの減損損失で通期見通し下方修正 武田薬品

武田薬品の2026年3月期第2四半期決算は、売上収益2兆2194億8100万円(前年同期比6.9%減)、営業利益2535億6100万円(27.7%減)、税引前利益1788億400万円(30.1%減)、中間利益1124億4100万円(40.0%減)の減収・減益となった。売上収益はの減収は、主に同社の6つの主要なビジネスエリアの一つであるニューロサイエンス(神経精神疾患)における減収、および為替相場が円高に推移したことによるもの。
 ニューロサイエンスにおける減収は、主に米国におけるビバンセ(ADHD治療剤)の後発品の市場浸透による減収影響を引き続き受けた。為替影響を除いた場合、主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジーにおける売上収益はやや増収となった一方、ワクチンの売上収益は減収となった。
 利益面では、細胞療法のガンマ・デルタT細胞療法プラットフォーム研究開発中止に伴う減損損失の計上が主な減益要因となった。研究開発費は、3054億円(対前年同期比387億円減)となった。この減少は、主に特定の開発プログラムの終了による費用の削減、円高による為替影響、および全社的な効率化プログラムの節減効果によるものである。なお、研究開発費の減少は、後期開発パイプラインに対する投資の増加により一部相殺されている。
 2026年3月期通期予想は、為替影響とパイプラインに関わる減損損失を反映し、売上収益4兆5000億円(当初予想比300億円減)、営業利益4000億円(750億円減)、税引前利益2430億円(640億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益1530億円(750億円減)に下方修正した。

ウェバー氏

◆クリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長CEOのコメント
 当社が現在、新製品の上市に注力する新たな成長局面へと移行する過渡期にある中、2025年度上期業績は、中核事業の進捗に対する見通しに沿う内容となった。下方修正を行った通期見通しは、第2四半期での研究開発パイプラインに対する戦略的判断に基づく減損損失や、取引通貨に係る為替影響を反映している。
 この先、既存の成長製品・新製品は緩やかな成長を続け、新たな製品の上市によって、さらに加速する見込みである。2025年度は武田薬品にとって重要な1年であり、下期にはrusfertideおよびoveporextonの規制当局への承認申請、ならびにzasocitinibのP3試験結果の公表が予定されている。
 加えて、当社は、研究開発パイプラインのさらなる強化・拡充を目的に、外部とのパートナーシップの拡大も継続している。最近では、オンコロジー領域における当社の存在感をさらに高めることを目的として、Innovent Biologics社と新たな戦略的グローバルパートナーシップを発表した。
 当社は、これらのパイプラインが、患者さんや社会に対し革新的な医薬品をお届けし、長期的な価値をもたらすと確信しており、これからの展開に大きな期待を寄せている。

◆古田未来乃武田薬品チーフ フィナンシャル オフィサーのコメント

古田氏

 2025年度上期の業績は、対前年同期でのビバンセの後発品による市場浸透が主な要因として影響を及ぼしたものの、当社の想定通りの進捗であった。下期にはこの影響が軽減するとともに、成長製品・新製品の成長が加速する見込みである。
 また、通期見通しの修正には、取引通貨に係る為替の影響や、ガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームに関連する無形資産の減損損失が反映されており、製品構成の変化による影響は、徹底した営業経費の管理により、相殺される見込みである。
 当社は、移行期である2025年度の後半を迎えるにあたり、事業のさらなる成長を確信している。

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