抗HIV薬「Dovato」 Biktarvyとの比較P4試験で有意な体重増加抑制と有害事象の低さ確認 塩野義製薬

 塩野義製薬は23日、抗HIV薬「Dovato」(ドルテグラビル/ラミブジン)について、P4相多施設共同無作為化臨床試験(PASO DOBLE試験)において、Biktarvy(ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル)と比較して、同等の抗ウイルス効果、非劣性を示し、体重増加が統計学的に有意に少なく、薬剤関連の有害事象も少なかったと発表した。
 PASO DOBLE試験は、塩野義製薬がグラクソスミスクラインおよびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が、HIV-1の維持療法においてDovatoとBiktarvyの有効性と安全性を直接比較したP4相多施設共同無作為化臨床試験である。これらの試験結果は、第20回欧州エイズ会議(EACS)で発表された。
 PASO DOBLE試験は、ウイルス抑制が維持されているHIV-1感染者553名を対象に、2剤レジメンのDovato(n=277)と3剤レジメンのBiktarvy(n=276)を比較するもの。ウイルス抑制が達成されたHIV感染者の治療をDovatoまたはBiktarvyに切り替え、主要評価項目として、96週間の服用後のウイルス量の抑制を評価した。また、主要な副次評価項目として体重の変化や安全性を評価した。
 Dovato群は96週間後のウイルス量の抑制効果に関して、Biktarvy群に対して非劣勢を示し、主要評価項目を達成した。また、治療開始後96週目までに、Biktarvy群では3例のウイルス学的失敗が確認されたが、Dovato群では確認されなかった。いずれの失敗例においても耐性ウイルスの出現は認められなかった。
 Dovato群はBiktarvy群と比較して、体重増加の副作用が統計学的に有意に少なく、薬剤関連の有害事象も少ないことが確認された。主なPASO DOBLE試験結果は、次の通り。

・96週時点で、Dovato群はBiktarvy群に対してウイルス抑制維持において非劣性を示した。(リスク差:-0.7%、95%信頼区間:-2.1~0.7)

・体重増加は、Biktarvy群で平均2.35kg、Dovato群で0.84kgと、Dovato群の方が有意に少なかった。(差:1.52kg、95%信頼区間:0.74~2.29)

・体重が5%以上増加した被験者の割合は、Biktarvy群で34.8%、Dovato群で20.1%であった。(調整オッズ比:2.05、95%信頼区間:1.37–3.07)

・薬剤関連の有害事象は、Dovato群で7.6%、Biktarvy群で13.4%と、Dovato群の方が少なかった。(p=0.025)

 HIV治療はウイルス抑制だけでなく、HIVと共に生きる人々のQOLや長期的な健康維持も重要である。同試験において、Dovato群ではBiktarvy群と比較して有意に体重増加が抑制され、また薬剤関連有害事象頻度の低さも明らかになった。これにより、Dovatoは長期的な健康管理の観点からも有望な治療選択肢であることが示された。

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