エイズ治療薬「カボテグラビル」 レナカパビルとの直接比較P1試験で90%の参加者と86%の医療従事者が選好 塩野義製薬

塩野義製薬は22日、グラクソスミスクラインおよびファイザーとともに資本参加している ヴィーブ社が、カボテグラビル(CAB-LA)およびレナカパビル(LEN)の単回投与後の受容性と忍容性を比較したCLARITY試験で90%の参加者と86%の医療従事者がCAB-LAを好んだと発表した。同試験結果は、第20回欧州エイズ会議(EACS)にて発表された。
 CLARITY試験は、HIV陰性の成人を対象にCAB-LAとLENを直接比較したP1試験(オープンラベル、クロスオーバー試験)である。同試験では、HIV陰性の参加者63名が、1日目にCAB-LAまたはLENのどちらか一方の薬剤を、15日目には、1日目に投与した薬剤と別の薬剤を投与された。CAB-LAは筋肉注射を単回投与、LENは皮下注射を2回投与された。
 主要評価項目は、各薬剤の投与から7日後に評価された注射部位反応の受容性であった。CAB-LAは69%(42/61)の参加者に「完全にまたは非常に許容できる」と評価され、LENは48%(29/60)であった。
 さらに、各薬剤の単回投与後、HIV陰性の成人の90%、医療従事者の86%がCAB-LAを好むと回答した。これらの結果は、長期作用型注射剤を用いたHIV治療や予防において、患者と医療従事者が十分な情報をもとに最適な選択を行うための重要な指針となることが期待される。
 参加者のうちCAB-LAを選好した理由(n=54)は、注射時の痛みが少ない(n=40)、注射後の痛みや違和感が少ない(n=33)、腫れや硬結の持続時間が短い(n=31)、腫れや硬結のサイズが小さい(n=30)などであった。
 LENを選好した参加者(n=6)の理由は、注射後の痛みや違和感が少ない(n=5)、腫れや硬結の持続時間が短い(n=3)、サイズが小さい(n=3)、副作用が少ない(n=3)などであった。
 CAB-LAを選好した医療従事者(n=6)の選考理由は、副作用の報告数が少ない(n=5)、副作用の重症度が低い(n=4)、注射時の痛みの少なさ(n=4)などであった。
 LENを選好した医療従事者(n=1)の選考理由は、注射準備の容易さであった。注射部位反応(ISR)に関しては、その頻度および視認性において、LENでは538件、CAB-LAでは123件のISRが報告された。視認可能なISRは、LENで221件、CAB-LAで36件であった。

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