世界で初めて白髪関連遺伝子「PLXNA1」新規発見 日本人大規模ゲノム解析で ロート製薬

 ロート試薬は16日、日本人大規模ゲノム解析により白髪関連遺伝子「PLXNA1」を新規発見したと発表した。今後、アジア人向け白髪用製品の開発や診断事業への応用が期待される。
 今回、2186人を対象とした大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS解析)を実施した結果、日本人特有の白髪関連遺伝子 Plexin-A1(PLXNA1)を世界で初めて発見したもの。さらに、semaphorin(Sema)-plexinシグナル経路が白髪形成メカニズムに関与する可能性を明らかにした。
 同研究成果は、本年9月 15 日~18 日にフランス・カンヌで開催された第 35回国際化粧品技術者会連盟カンヌ大会2025(The 35th IFSCC Congress 2025 France Cannes)で発表された。
 これまでの白髪に関する遺伝的要因を研究する手法の1つである GWAS 解析は欧米・中南米集団が中心で、アジア人集団での知見は限定的であった。一方、高齢化社会の進展に伴い日本人の白髪への関心が高まっているものの、現在の白髪対策は染毛が主流で、根本的な改善方法は確立されていない。
 白髪は最も顕著な加齢現象の一つとして社会的・心理的影響が大きく、「効果的な改善方法がない」現状から、科学的根拠に基づく解決策が強く求められている。
 白髪による心理的負担の軽減と生活の質向上への貢献を目指し、日本人特有の遺伝的背景に基づいた白髪メカニズムの解明に取り組んだ。
 具体的には、日本人 2186人を対象とした白髪に関するアンケートおよびGWAS解析を実施した結果、白髪との関連性の高い遺伝子として、PLXNA1 遺伝子を確認した(図1)。

図1:白髪の遺伝的背景の探索

 これまで神経系の発達に関わることが知られていたPLXNA1 遺伝子が、白髪形成に関与する可能性を世界で初めて明らかになった。
 さらに、Sema-plexinシグナルのメラノサイトでの作用を調べるため、培養メラノサイトを用いた評価を行った。PLXNA1のリガンドであるSema-3A(SemaIII)をメラノサイトに添加したところ、メラノサイトの突起伸長を有意に抑制する結果が得られた(図2)。

図2 Sema III 添加によるメラノサイトの形態変化

 同研究成果により、日本人特有の遺伝的背景に基づいた白髪の根本的メカニズムが解明された。今後は、Sema-plexinシグナル経路を標的とした白髪ターゲット製品の開発を目指す。
 従来の染毛による対処療法とは異なり、メラノサイト機能の維持・活性化による根本的なアプローチにより、「隠す」から「予防・改善する」への市場パラダイムシフトをリードしていく。
 

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