
2025年ノーベル生理学・医学賞に大阪大学の坂口志文特任教授が選出された。坂口氏は、ウイルスなどの外敵機能を攻撃する免疫機能が、誤って宿主である自分の細胞を攻撃しないように制御する「制御性T細胞」を発見した。
この業績が評価され、2015年にはノーベル賞の登竜門の一つであるガードナー国際賞を受賞している。個人での日本人のノーベル賞受賞者は、2021年に物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏以来4年ぶりとなる。
新型コロナウイルスやワクチンが社会的に話題になったが、免疫反応の研究は如何にして免疫を強くするかと、その反対に異常免疫反応を如何に抑えるかが重要となっている。
6日に大阪大学吹田キャンパスで開かれた記者会見で坂口氏は、まず、「私のやってきた研究は、免疫反応を如何に制御するかということである」と明言。
その上で、「このメカニズムが解明されれば、関節リウマチ、1型糖尿病などの治療や発症防止に繋がる。がん治療に対する免疫反応では、制御性T細胞を減らしてやると免疫反応が上がってがん細胞を攻撃する。臓器移植では、拒絶反応を抑制できる」と実臨床における研究成果の応用例を紹介した。
さらに、「色んなことで制御性T細胞を標的にした医療が可能である。今回の受賞を契機に、この分野がますます発展し、臨床の場で応用できる方向に進展していくことを望んでいる」と訴求した。