ノボノルディスクは9月30日、GLP-1阻害薬「リベルサス」について、欧州医薬品庁 (EMA) の医薬品委員会 (CHMP)が、2型糖尿病の心血管死、心筋梗塞および脳卒中リスク減少効果を承認したと発表した。
今回のEUの承認により、同剤はこれらリスクの減少を認められた初めての経口GLP-1受容体作動薬となる。リベルサスは、心血管系ベネフィットが確立された初の2型糖尿病を適応とする経口グルカゴン様ペプチド1 (GLP-1) 受容体作動薬で、GLP-1受容体作動薬は内因性のホルモンと同様の作用を有し、血糖、食欲、消化の調節を助ける。
今回の承認はSOUL試験結果に基づくもの。SOUL試験は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD) または慢性腎臓病 (CKD) あるいはその両方を併発している2型糖尿病患者において、心血管アウトカムに対するリベルサスの効果を評価するP3b試験である。
同験では、標準治療に加えてリベルサスを投与した場合、心血管リスクの高い2型糖尿病の成人において、心血管死、心筋梗塞および脳卒中の発現がプラセボ群と比較して14%減少した。
SOUL試験の新たな結果は、9月15~19日に開催される2025年欧州糖尿病学会 (EASD) で発表さた。これには、リベルサス投与によりプラセボ投与と比較して重篤な有害事象に関連する入院が有意に減少した結果も含まれている。
SOUL試験結果に関する同学会での別の発表では、被験者の体格指数 (BMI) や体重に関係なく一貫してリベルサスの心血管ベネフィットが認められることも明らかにされた。
米国では、リベルサスの心血管系への適応拡大に関する決定が今年後半に下される見込みだ。ノボ ノルディスクは、米国で、過体重または肥満で心血管疾患の既往を有する成人に対する1日1回経口投与のリベルサス25mg製剤 (Wegovy錠剤) の承認申請も既に提出している。
同承認申請は、今年年末にFDAが決定を下す見込みで、承認されればWegovyは長期的な体重管理を適応とする初の経口GLP-1受容体作動薬となる。
リベルサスは、2019年に発売されて以来、2型糖尿病の治療薬として承認されている初の経口GLP-1受容体作動薬である。強力な臨床的エビデンスとリアルワールドでのエビデンスにより裏付けられており、血糖降下と体重減少において複数の比較対照薬に対し優越性を示し、2型糖尿病の成人における確立された安全性プロファイルも示されている。
◆エミル コングショイ ラーセン ノボノルディスクのインターナショナルオペレーションズ部門 エグゼクティブ バイス プレジデント (EVP) のコメント
心臓の問題は2型糖尿病の人々にとって障害や死亡の主な原因である。従って、心臓の問題にも対処する治療薬は、健康状態の改善のみならず生活の質を高める上でも重要であり、今回の承認がまさにそれを実現する助けになるだろう。
この画期的な成果により、リベルサスは血糖降下と体重減少のみならず心血管ベネフィットも確立された唯一の経口GLP-1受容体作動薬となる。
